8月ごろから始めていた読書日記も深読日記を除けばついに10記事目です!
投稿ペースは予想よりは上がっていますが、予想よりは続いているという印象です。
この習慣を継続したまま、更新速度をあげたい!ということで、今回はその悩みを解決するための本を選びました。
目次
今回の本
イ・ミンギュ氏著作(翻訳:吉川南氏)の「「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法」(文響社)です!
筆者について
イ・ミンギュ氏は心理学博士かつ臨床心理専門家であり、心理学教授を務めています。
また、筆者の哲学には「幸せな人生を手に入れるためには1%だけ変えればいい」という主張があり、「1%行動心理学者」と呼ばれています。
この哲学に私は強く共感します。
習慣や行動をいきなり大きく変えようとすると、始めるためのハードルは高くなり、いざ踏み切っても無理が生じて長く続きしません。
想いを挑戦に移し、習慣とし、成功体験とするためには、自分にとって重要でかつ効果の高い習慣を少しずつ取り入れていくというアプローチが現実的です。
目的や目標は大きく、でもそこに向かうための道は堅実かつ着実な日々の積み重ね。最近色々勉強を重ねてきたうえで、実践を目指している人生への取り組みの姿勢です。
概要
大小差はあると思いますが、後回し癖は全人類共通の悩みでしょう。
「もっと早く手を付けていたら」、「もっと大事なことに時間を使っていれば」、「やろうと思ったけど気付いたら今日も夜になってしまった」という後悔は皆様にもあるのではないでしょうか。
その悩みや問題を解消するための技術を目的にあわせて20種類紹介してくれるのが本書となります。
筆者は成果を出すために必要なのは「実行力」であり、この実行力は技術であるため後天的に身に付け鍛えることができると強調します。
今回の本は筆者の背景も活かされており、心理学等の研究データを用いた研究者の目線と、教授における指導の実体験を踏まえた指導者目線からの、データと体験の両面から丁寧に理論立てて技術が紹介されています。
大学生というのは多くの誘惑の中で最も後回し習慣に悩まされる時ですから、思わず共感してしまうような学生たちのエピソードに出会うことができるでしょう。
そのため、一部の習慣づけや動機づけの本で見かける、理論や再現性のない個人の根性論や、実体験が伴わない机上の空論のような内容はないので、納得感を持って読み進めることができます。
章の構成
本書は大きく分けると決心、実行、継続の3章に分かれています。
- prologue:すぐに行動に移す人、先延ばしにする人
- 第1章 決心する
- 01:成功のイメージに逃げ込んではならない
- 02:かゆくない方の足をかいていないか
- 03:スケジュールは逆から立てなさい
- 04:「プランB」があなたを救う
- 05:「ひそかな誓い」はかなわない
- 06:変われないのは望んでいないからだ
- 第2章 実行する
- 07:ベストタイミングは常に「いま」だ
- 08:最初の1%の行動に全力を注げ
- 09:「二つの締め切り」をつくりなさい
- 10:人生は実験の連続だ
- 11:頼んだ人だけが助けてもらえる
- 12:見られていないと人は動かない
- 13:大事な仕事の前に雑用をやりたくなる理由
- 第3章 維持する
- 14:人はセルフイメージ通りの人間になる
- 15:人の頼みを断れないのなぜか
- 16:掃除をしたければ、家に友達を呼ぼう
- 17:「効率」と「効果」の違いを知る
- 18:いかなるときも目標から目をそらさない
- 19:雨が降るまで雨ごいをしよう
- 20:教えることは学ぶこと
- epilogue 毎日1%だけ、昨日と違うことを実行しよう
何かを「始めること」と「継続すること」にフォーカスを当てた本は多いですが、本書はその前段階の「決心」のところから時系列に解説されています。
そのため、始める前の準備がまだ整っていない方や、始めるための決心がついていない方でも参考にしやすい構成となっています。
例えば 「06.変われないのは望んでいないからだ」 では、モチベーションが上がらない理由として、目標を達成する理由が明確になっていない可能性を指摘しています。
始める前の準備が十分であるかという確認もできるというのが本書の特徴です。
また、本書の長所として、どう取り組めばいいのかのアクションアイテムが章ごとに3つ設定されており、本書で学んだ内容を行動に移しやすいように工夫されています。
その通りに行動しただけでも、自分の理想に近づけた感触を得ることができ、その後のアクションへのモチベーションを得ることができるでしょう。
読むのをオススメしたい方
後回し癖に悩んでいる方
タイトル通り言わずもがなといったところでしょうか。
習慣を改善して後回しや時間の無駄遣いを無くし、日々の生産性と充実度を上げたい方にお勧めの一冊です。
目的やシーンに分けて20個もの技術が紹介されているので、ある程度習慣を練り上げている方でも、自分の習慣の見直しや改善をする上で参考となる一冊でしょう。
頑張っているのに中々成果が得られなくて悩んでいる方
本書のメインテーマは「後回し癖の解決」ですが、自分の活動の成果を高めるための技術も含まれます。
自分では後回しにせず頑張っているつもりでも、大事なステップを見逃しているがために努力が空回ししている可能性もあります。
本当に自分に大事なものが何か、そしてそのために必要なプロセスが具体的にイメージできていないと、適切な行動を選択することはできません。
また、個人的に大きな学びとなったのは「17.「 効率」と「効果」の違いを知る」です。
筆者は仕事の量をこなすよりも、その仕事自体の価値という効果の側面を強調します。
多くの人が効果を考えずに、ただ熱心に働いている。だから世の中は死ぬほど働いても望むものを手に入れられない人でいっぱいだ。誰よりも熱心に働き、誰よりもその仕事に熟達しているのに、望むものを得られないとしたら、それは価値や寄与度が低い仕事を選んだためだ。だから、効果を得られないのだ。効率と効果の違いを認識した瞬間から変化が生まれ始める。
「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法 p256
いかに多くの作業や仕事をこなそうとも、その内容が薄ければ成果や充実感にはつながりません。
頑張っているはずなのに、中々成果や満足感を得られない場合は、その取り組みの効果を疑うことが重要です。
私は、仕事や取組みをいかに多く終わらせられるかという効率については常に重要視していましたが、その仕事の効果という視点は不足していたと感じました。
とにかく何かをやっている実感が欲しくて色々手を出していましたが、取り組むためのハードルが高いけど本当に自分に必要な取り組みを後回しにしていたのではと自戒しました。
このように、本書は自分の取り組みの量だけでなく、その質についても振り返るきっかけを与えてくれました。
読んで感じたポイント
一番印象に残ったポイント:2つの締め切り
直ぐ取り入れられそうで、かつ効果が高いと感じたものは、終わりのみではなく、いつ始めるのかという開始のデッドラインを設定するというアイディアです。
期限は緊張感を高める厄介なものですが、人のモチベーションを上げる起爆剤ともなります。
また、パーキンソンの法則で知られる通り、人は与えられた時間にあわせて仕事するので、自分で時間を短く設定することで、多くの事柄に挑戦できるようになります。
私は期限の前倒しや中間のマイルストーン設定は実施してきましたが、開始のデッドラインという考えはありませんでした。
終わりのポイントしか設定していないために、忙しさの中で始めるのが遅くなり、自分で設定した期限をリスケすることになった経験もたびたびあります。
開始のデッドラインを設定することにより、取り掛かり自体が後回しになるのを回避することができます。
ここでのポイントは、ただやる日を決めるだけではなく、やる場所・時間・取り掛かり方まで具体的に決めることです。
具体的に決めておくことで当日までに必要な準備を整えたり、当日に何から始めようか悩んで時間を浪費するという失敗を回避することができます。
物事を進める中で取り掛かり始めは最もハードルが高く、スピーディーに対応できるかを決める重要なポイントであるため、この開始デッドラインの設定は「後回し」を回避する上で非常に強力なアクションとなります。
面白いと感じた点:難易度が高い課題を選び、簡単な作業から取り掛かる
個人的に面白いと感じたのは二段階の優先順位付けです。
この二段階の優先順位付けという言葉は本書内には登場しませんが、「07:ベストタイミングは常に「いま」だ」と
「08:最初の1%の行動に全力を注げ」を読むことで、自分の中で悩んでいたことが自然に整理できました。
朝や意志の力が強い内に、難易度が高い課題に取り掛かるべきというのは、よく聞く助言です。
カエルを食べるのであれば朝一番に。という言葉もありますね。
しかし、そうはいっても難易度が高いので、取り掛かりまでに時間が掛かったり、取り掛かり始めても中々進まないので直ぐに中断してしまうというジレンマがありました。
そうすると、パワーがある朝の時間をずるずる無駄に過ごしてしまい、その日一日がイマイチなものになってしまいます。
このジレンマを解消するのが、二段階の優先順位付けで、難易度の高い課題の中で最も簡単に始められる作業をピックアップすることで、取り掛かり始めを円滑にすることが可能です。
始めることが一番ハードルが高いので、ここをいかに労力を少なくするかは重要なポイントです。
この考えが出る前は、エンジンを回すための作業として、その他の簡単な課題を選んでいましたが、そちらに時間を割きすぎてしまい、大事な課題をする時間が無くなってしまう危険性があります。
この二段階の優先順位付けは、作業を開始する難易度を下げながら、やるべき課題を着実にこなしていく上で非常に有効なアプローチとなります。
さらに、本当に自分にとって大事、もしくは必須の課題であるかという定期的な見直し、そしてその作業は効果が高いものであるかという精査を組み合わせることで、日常の取り組みの量と質の向上を目指せます。
この優先順位付けが身につけば、自分の目標に着実に近づく習慣が作れますね!
行動に取り入れるなら?
筆者は「行動力」の重要性を強調しており、どのように本書を読めばいいのか、どうすれば行動に取り入れられるか、まず一歩踏み出すためにはどうすればいいかについても、具体的な助言が本書内で紹介されています。
この助言を素直に受け入れるのが、最も効率がよいでしょう。
すぐに実行できる小さなことをひとつ、とても実行しないではいられない小さなことを、ひとつだけ探してみよう。今日の夜12時が過ぎる前に、必ず実行に移そう。(中略)小さなことを、ひとつだけ選ぼう。そして、今日すぐに実行に移そう。明日も、あさっても、しあさっても、毎日ひとつずつだけ実行しよう。
「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法 p316
すでに本書に助言が散りばめられているので、私見は蛇足なので省略します笑
終わりに
人生をいかに充実したものにできるかは、効率よく効果の高い行動を継続できるかにかかっています。
本書はその上で大敵となる「後回し癖」を退治するための20の技術を目的に分けて紹介しているので、自分の習慣で障壁となっているものを特定し、修正することが可能です。
筆者はとにかく行動することの重要性を説きます。
どんなに創造的なアイディアでも、それを実行しなければ無用の長物になってしまう。実行力は目標を目に見える成果へと導く結び目であり、自分の運命はあなたが実行するかどうかに関わっている。
「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法 p314
筆者の指摘通り、実際に行動に移さなければどのような素晴らしいアイディアや考え、ポテンシャルでも、成果につなげることができません。
自分の理想の生き方を目指すには日々の行動の量と質が重要となります。
その上で、個人的に大事だと感じた考え方は「10:人生は「実験」の連続だ」で紹介されているすべての行動を実験と考えることです。
日本人は外国と比べると、失敗を恐れる傾向が強いといわれます。
私もリスク回避の傾向が強く、失敗するのが嫌で挑戦しなかった経験も多くあります。
全ての行動を実験ととらえることはそのマインドを変える上で有効な認知方法だと感じました。
実験ととらえることで、失敗は当然のものとして受け入れられますし、失敗自体も間違っていることを確認できたという進歩というポジティブなものとしてとらえることが可能となります。
多くの実験を継続していき、すこしずつでも確実に自分らしい人生に近づけていきたいと感じましたし、実際に実行していきます。
おかげでいつも一週間かかっていた読書日記の更新も週の半分で達成できました。これを継続していきたいです。
また、本ブログ読者の1人でも、本記事が行動変化のきっかけとなる方がいらっしゃったら幸いです!
それではまた次の記事で!