社会人に求められる「情報把握力」とは?どう伸ばせばいいの?1/2

どうもです!

あなたは「社会人基礎力」という言葉を耳にしたことがありますか?これは、経済産業省が提唱する、仕事や社会生活において必要とされる12の能力要素の総称です。特定の職種や業界に依存せず、あらゆる社会人が共通して求められる基本的な力を指しています。つまり、これらの能力を磨くことで、生涯役立つどんな場面でも活躍できる柔軟な土台を築くことができます。

社会人として求められる12個のスキルとは?

しかし、「12の能力要素」と聞くと、「そんなにたくさんあるの?」と少し尻込みしてしまうかもしれません。でもご安心ください!これらはどれも、日常生活や仕事の中で少し意識するだけで身につけられるスキルです。

このブログでは、それぞれの能力要素が具体的にどんなスキルを指しどうやって鍛えればいいのかをわかりやすく解説していきます。まずは、今日からできる一歩を一緒に踏み出してみませんか?

今回は「チームで働く力(チームワーク)」に分類されている「情況把握力」がテーマです。

皆さんは、職場や日常生活で「今、この場で求められていることは何か?」を瞬時に理解できていますか?

「情況把握力」は、社会人基礎力の中でも特に重要なスキルの一つであり、物事の流れや場の雰囲気を正しく理解する力です。状況を把握する力があれば、効率的に行動できるだけでなく、チームでの役割や自分の立ち位置も明確になります。特に予測不能な出来事が多い現代社会では、この力が大きな価値を持ちます。

本記事では、「情況把握力」とは何かを明確にし、どのような場面で必要とされるのか、そしてどのように鍛えることができるのかを詳しく解説します。「情況把握力を高める第一歩」を一緒に踏み出してみましょう!

情況把握力とは?

情況把握力とは「自分と周囲の人びとや物事との関係性を理解する力」を指し、情報を収集して自分事に落とし込み自分の置かれている状況や情報を正確に捉え、何をすべきかを判断する力が求められます。これは以下のような能力の組み合わせによって成り立ちます。

  • 情報収集力:状況に関連する事実・データ・人の動きなどを的確に捉える力。
  • 分析・整理力:集めた情報を構造化し、優先順位や因果関係を把握する力
  • 俯瞰力・適応力:自分の視点に偏らず全体を広く捉え、変化に応じて視点や行動を調整する力

情況把握力は、単に目の前の出来事を見るだけでなく、「今の状況がどのような意味を持つのか」「どのような影響を及ぼすのか」を考えることが求められます。これにより、適切な判断や行動が可能になります。

情況把握力があることによるメリット

情況把握力を鍛えることで下記のようなメリットが期待できます。

  • 効果的なコミュニケーション: 周囲の状況を理解することで、適切なタイミングや方法で情報を伝えることができ、誤解を防げます。
  • 迅速な意思決定: 状況を的確に把握することで、迅速かつ適切な意思決定が可能となります。
  • 信頼関係の構築: 周囲との関係性を理解し、配慮ある行動を取ることで、信頼関係を築くことができます。

チームで働く上での情報伝達や行動の最適化に繋がります。

情況把握力が無いことによるデメリット

逆に情況把握力が不足していると下記のようなデメリットが懸念されます。

  • コミュニケーションの齟齬: 状況を把握せずに発言や行動をすると、誤解やトラブルの原因となります。
  • 非効率な業務遂行: 周囲の状況を無視した行動は、業務の非効率やミスにつながります。
  • 信頼の低下: 状況を理解せずに行動することで、周囲からの信頼を失う可能性があります。

情況把握力が求められる場面

情況把握力は下記のようにビジネス、特にコミュニケーションの多様な場面で求められます。

  • 会議や打ち合わせ: 参加者の立場や意図を理解し、適切な発言や対応をする。
  • プロジェクトの進行: チームメンバーの状況や進捗を把握し、サポートや調整を行う。
  • クライアント対応: 顧客のニーズや状況を理解し、最適な提案や対応をする。
  • 戦略検討:情報を正確に把握することで何をするべきかを中長期的に検討する

情況把握力を鍛えるための方法:情報収集力

それでは情況把握力を鍛えるにはどのような方法があるかを考えてみましょう!

3つの視点(情報収集力・分析整理力・俯瞰力と適応力)に基づき、それぞれの鍛え方・ポイント・注意点・具体例を詳しく紹介していきます!今回はまず情報を集める情報収集力に着目します!

状況を把握するためには必要な情報を収集することが必要です。その上で情報収集力の向上が欠かせません。

情報収集力といっても情報を集めればいいというものではありません。どんなに情報が多くても素通りしていては意味がありません情報が多すぎると処理しきれません。

情報の量と共に質も大事ですし、触れた情報への感度も重要です。これらの要素を漏れなく鍛える方法を考えていきます。

まず情報の質情報への感度を上げるという観点で情報収集の目的を明確にする重要性を紹介します。

目的を明確にする

情報収集を始める前に、何のために情報が必要なのかを明確にすることで、効率的な収集が可能になります。更に目的が明確であることで行動や判断への情報の活用がスムーズになります。

目的が曖昧であると必要な情報が集まりません。情報が集まってもノイズが混じって判断を惑わす要因になったり、不要な情報まで集めてしまい時間と労力の浪費となる恐れがあります。

目的を明確するためのヒントとして情報収集の主な目的を例示します。

分類目的具体例
課題特定解決すべき問題を特定するため社内の課題を社員よりヒアリング、顧客アンケートにより要改善点を確認
問題解決問題の原因や対応策を特定するため顧客満足度低下の原因調査、トラブルの再発防止策の探索
意思決定複数の選択肢から最善を選ぶため新製品の仕様をA案/B案から選ぶ、投資先の選定
提案・企画新たな提案や企画を立てる材料を得るための情報収集新規事業アイデアの構想、広告キャンペーンの企画
トレンド把握市場や業界、社会の変化を察知するための情報収集DX関連技術の動向、働き方改革の影響
リスク管理リスクや脅威の発見・予防のための情報収集為替や法律の変更の兆候、クレームの前兆の把握
競争分析競合企業の動向を知り、自社戦略に活かす情報収集同業他社の新商品、価格戦略、プロモーション内容
評価・効果測定実施施策の成果や影響を確認するための情報収集マーケ施策後の売上変化、研修後の社員の変化

複数の目的が重なるケースも多くあるのでMECEにこだわる必要はありません。その中で主目的と副目的を切り分けると優先順位をつけやすくなり情報収集の質と効率が上がります。

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情報が溢れる現代では目的を定めて情報を絞らないと効果を実感できない中で量に圧倒され、収集が苦痛になってしまいます。どんな情報収集をしており、それは何のためで効率的な方法なのか、棚卸をしてみましょう!

また、戦略・計画を立てる前に仮説を設定することも情報収集を効率化する上で有用です。

仮説を立てるのはカロリーが要るので、「情報を収集してから」とつい先延ばしにしたくなるのですが、仮説が無いと情報収集の目的や方向性も曖昧になり効率的な情報収集ができません。

仮説があるとどのような情報が検証に必要か特定でき、どうすれば効率的に情報収集をできるかも考えやすくなります。

仮説の立て方のコツと注意点「課題発見力」の回で紹介しているのでそちらも是非ご参照ください!

信頼性の高い情報源を活用する

先述の通り情報は量のみでなく質も重要です。

不正確な情報が多いとノイズとなり判断の邪魔となりますし、情報が正しいかの確認に時間を取られてしまいます。

公的機関の統計データや専門誌など、信頼性の高い情報源を活用することで、正確な情況把握が可能となります。

情報源は大きく分けると公の情報源と自分から直接取りに行くパターンが存在します。

公の情報源

一般的に信頼性が高いと考えられる情報源活用しやすさ順に整理してみます。

情報源具体例特性活用のコツ注意点
公的機関の発表政府省庁・統計局
(例:経産省、厚労省)
データの正確性・中立性が高く、公式な現状把握に適している数字の背景(定義・対象・範囲)を確認して適切なデータを選択する更新日が古いと意味合いが変わる、サービスでないのでユーザビリティは高くなく閲覧に慣れが必要
専門機関・研究所学会、大学、シンクタンク、論文(例;IPA、日経リサーチ)専門的・理論的な知見が豊富で深堀に有用情報がある場所へ主体的に探しに行く、最新情報を自動的に入手する仕組みを作る独自の仮説や前提条件に基づくため、他ソースとの比較検証が必要
信頼できるメディア日経、BBC、ノーカットインタビュー情報の裏付けがされており、ニュース性と社会性に優れる編集の意図や政治的傾向もありえるので、複数のメディアをバランスよく活用するアクセスしやすいメディア(国内、サジェスト)に情報源を偏らせない
業界団体・業界誌協会・定期誌実務に直結したトレンドや課題を網羅。専門性と実用性が両立。データの出所が適切であるか、根拠の客観性をチェック支持団体なども確認し発言が偏っていないかに注意する
専門家・有識者の発信専門家の講演・書籍・SNS独自の視点や現場の治験が多く、洞察に富む
情報も早い
抽象化することで汎用的なナレッジを得る個人の主観や商業的意図に注意し、根拠の有無や妥当性を注視

得たい情報と目的によってどのアプローチが適切であるかを選択するとともに、情報が偏らないように複数の情報源を選択するのがオススメです。

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どの情報源を普段使用しており、それは不足が無いか、偏りがないかを定期的にチェックすることも重要です。

自分から情報を取りに行く

情報を得るのは外部からだけとは限りません。むしろ、組織や人間関係を構築する上では、社内やメンバーといった「身内」の情報を収集することが非常に重要です。

組織内で得られる情報は、即時性が高く、実践的で、現場での意思決定や課題発見において特に役立ちます。

また、社内の情報や関係性を把握しておくことで、誰が承認者や意思決定者、キーパーソンなのかが見えてきます。その結果、誰にどのように働きかければよいかが明確になり、物事を効率よく進めることができます。

そのためには、「情報を待つ」のではなく、自分から積極的に取りに行く姿勢が不可欠です。ここでは、情報の「距離感」という観点から、その具体的な方法を整理してみましょう。

アプローチ方法特徴具体例活用のコツ注意点
自主観察
自分自身で周囲の動きや変化を観察し、そこから情報を読み取る方法。
最も手軽だが、主観に偏る可能性がある。普段のコミュニケーションが鍵。メンバーの日常会話や表情より変化を読み取る、現場に出向き直接観察する変化や気づいた点を記録しておく、感情に左右されず事実を観察する癖をつける主観的な解釈に頼らない、定点観測を複数回行う
組織調査
ログデータを抽出したりアンケートを実施して全体の傾向を読み取る。
量と網羅性が強みで定量的な情報を得やすい。目的に応じたシステムや調査方法のデザインが必要。社内KPIダッシュボードを見る、システムのレポートを活用する、アンケートを実施する目的を持って情報を選ぶ、複数の情報源からバランスをとる、意義を強調し対象者より協力を得る情報過多にならないようにする、古い情報や誤情報により情報が歪んでいないか注意する
双方向対話
相手とのやり取りを通して情報の確認や深掘りを行う手法です。
自分が気づかない視点や感情の裏側に気づきやすくなる。1on1でヒアリングを行う、意見交換会やカジュアルランチで本音を聞くオープンクエスチョンで相手の背景や意図を引き出す、「なぜ?」を2回以上使い深堀する尋問のようにならないよう注意、結論を急がず聞くことに集中する
組織的連携
自分の所属を超えて、組織内外のネットワークから情報を得る手法。
より広い視点で全体把握が可能になる。主体的な働きかけが必要他部署との勉強会や交流会に参加、最新のプロジェクトチームに入る、SlackやTeamsを活用相手にも情報をギブする姿勢により情報をもらいやすくる、定期的な接点を作る信頼されないと情報が回ってこないため、日頃の信頼構築が重要

上記に補足して組織の中の情報を収集する上で個人的に有用と考えるコツは下記です。

  • 自分から情報を発信する
    自分から情報をオープンにすることで、双方向のコミュニケーションを生み出すきっかけになります。ナレッジの提供をただ求めるだけでは中々信頼も情報も得られません。情報提供者としての信頼を築くことができれば、結果的に周囲からも情報が集まりやすくなります。気づきやノウハウを積極的に共有することでチーム内での情報共有の促進に繋がることもあります。また、信頼を得られれば相談を受けやすくなり、自動的に得られる情報が増えます。ただ提供時は守秘義務にも注意を払い提供できる情報の範囲や伝え方に注意しましょう。
  • 情報通と関係性を深める
    情報通との信頼関係を築くことで、公式には出回らないリアルな情報を得やすくなります。特に「非公式な動き」「背景事情」などはこうした方法で得られることが多いです。相手の得意分野や関心領域を把握しておくと、会話が弾みやすくなるでしょう。また、情報通と関係性を築く上でも自ら情報を発信することが第一歩となり、有用な情報を提供できる形で整理しておくことも重要です。
  • 最新の取り組みをしているチームに参加する、連携する
    最前線に身を置くことで、社内の最新動向や未来の方向性に直接触れられます。また、自分がその変化の当事者になることで、次回扱う適応力も身に付き成長にもつながります。新しい分野や取り組みへの挑戦はハードルが高いと感じるかもですが、「勉強させてください」というスタンスで飛び込むと歓迎されやすいです。ただここでも情報をもらうだけの存在ではなく、結果を出して価値を提供するギバー(与える人)となり信用を得ることが重要です。
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自ら与える存在(ギバー)については下記の動画も参考になれば幸いです!

また、アンケートについて、過去実施した際に躓くポイントがあったので、これまでの経験で重要と感じたアンケート実施時のコツも紹介させていただきます!

  • 目標を明確にする
    アンケートの目的を曖昧にせず、「何のために、誰のために、何を明らかにしたいか」を明確にしましょう。目的により適切な対象、実施時期、設問が決まります。逆に目的が曖昧だと労力をかけても有用な情報は集まりません。
    アンケートは準備、回答、そして分析にも多くの労力がかかります。骨折り損を避けるためにアンケートの目的が明確であるかに注意し、目的に沿ったデザインであるかを確認しましょう。
  • 分かりやすくバイアスのない設問を作る
    解釈によりばらつきが出ないように誘導的な表現やあいまいな表現を避け、誰が読んでも同じ解釈になるような設問を考えることが重要です。
    また、状況や設問によっては無意識に回答を誘導していることもあるので注意が必要です。例えば研修の満足度アンケートでは時間を無駄にしたと認めたくなくて満足度を高めに回答しがちです。
    その他、満足度などを選択肢で段階で評価する際は傾向をしっかり見るため奇数個の選択肢を用意したり、多くの工夫ポイントがあります。(日本人は無難に真ん中を選びがち)
  • 回答しやすいようにデザインする
    回答者の視点に立ち障壁となる要素を排除
    しましょう。長さは出来るだけ短く、自由記載も負担になるので最低限に抑えましょう。かかる想定時間が事前に分かると回答をしてもらいやすいです。
    また、「誰が答えたか分かる」状態は、回答の正直さを損ねる原因になります匿名性を担保して本音で答えられるようにしましょう。追加のインタビューをしたい場合は、協力者のみ情報を入手するアプローチも可能です。
    例:下記任意質問の設定
    「追加のインタビューに協力いただける方は連絡先・所属・お名前を教えてください」
  • 設問ごとに仮説を設定する
    アンケート準備の段階から、「どういう傾向ならどう解釈するか」という仮説を持って設計することが重要です。KPIの達成基準や追加のアクションが必要な基準を事前に設定しておくのです。この事前設定が無いと集めた情報が解釈・検証に使用できなかったり、自分に都合の良いように結論ありきで解釈を曲げてしまう危険性があります。
  • 結果を共有し次に活かす
    回答者に対して「回答が無駄でなかった」と思ってもらえるよう、結果や対応方針をきちんと伝えることが重要です。結果を共有せずに終わらせると、次回以降の回答率が下がりますし、都合の悪い結果を隠しているのではという不信感にも繋がります。アンケート結果を適切に根拠として展開することで説得力を増しつつ、今後のアンケートへの協力も仰ぎやすくなります。
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アンケートは根拠を集める上で便利なアプローチですが、回答にも分析にも時間が掛かります。労力が無駄にならないように、目的や各設問の仮説を丁寧に準備して目的に沿った検証ができるようにしましょう。

多様な視点から情報を集める

そして情報を集める上では自分の考えに合致する情報ばかりを集めてしまう「確証バイアス」に注意が必要です。

どれだけ情報があっても偏った情報のみでは視野が広がらず同じ考えに固執してしまいます。異なる立場や専門分野の人々から情報を得ることで、偏りのない全体像を把握できます

前述の情報源の整理により、得ている情報に偏りが無いかを定期的にメンテナンスすることが重要です。

受け身の姿勢ですと集まる情報は偏りがちですので主体的な働きかけが必要になります。例えば、社内の異なる部署や外部の専門家から意見を聞き、プロジェクトの進行状況を多角的に評価することも有用です。

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エコーチェンバーに陥ち、知らず知らずのうちに視野が狭くなってしまわないように注意しましょう!

今回は情報把握力の鍛え方の内、特に情報収集力に着目して紹介しました。

後編では集めた情報を分析して意思決定に活用できるように整理する力情報に応じて視点や行動を調整する力を紹介します。

それではまた次の記事で!

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