生命の原則を理解し、抗って生きる方法とは?1/2:読書日記

皆様、いかがお過ごしでしょうか?9月に入り、今年も残り4か月ですね。充実した1年とするためにもインプットとアウトプット量の確保が重要ですね!

今回取り扱う本は高橋 祥子氏「生命科学的思考」(株式会社ニューズピックス)です。

生命科学的思考とは、進化論を始めとした生命の原則という広い視点を取り入れて思考することを意味します。

私たちの物事の認識や考え方は、基本的にこれまでの経験に基づく思考パターンにより形成されるため、固定化されていきます。新しいアイディアを思いついたり違う視点で物事を考えて新たな知見を得たりするためには、他者の考え方を参考にするのも有効です。

本書は筆者の主張を参考に思考パターンに生命の原則という視点を取り入れ、視野を広げることで、これまでと異なる角度でビジネスと人生を見ることが期待できる一冊です。

生命科学的視点が、ビジネスと人生の見方にどのような影響を与えるのか気になり手に取った一冊で、これまで頭になかった視点での考え方を学べて非常に面白かったので、本ブログでも記事にしました。

それでは早速本題に入りましょう!

本書について:高橋 祥子氏「生命科学的思考」(株式会社ニューズピックス)

筆者

著者は生命科学研究者というバックグラウンドを持ちながら、東京大学の博士課程中に遺伝子解析を取り扱う会社ジーンクエストを立ち上げた起業家という側面を持つ高橋祥子氏です。

「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」、「日本ベンチャー学会賞」、「Young Global Leaders2018」を始め多くの受賞歴を持ち、研究者としても起業家としても高く評価されています。

研究者という理論的な背景と、起業家としての実社会での葛藤を乗り越えた経験から導かれる、融合的な視点本書の魅力を生み出しています。

本書の概要

すべての生物は、遺伝子を運ぶための生存機械?

筆者は冒頭で、最も有名な生物学の書籍の一つでであるドーキンス氏著の「利己的な遺伝子」の二つの記述を引用します。

一つ目は「すべての生物は、遺伝子を運ぶための生存機械だ」という記述です。ドーキンス氏は「利己的な遺伝子」で、人間の一見非合理とも思えるものも含め、人間の行動や性質に関する疑問「遺伝子の利己性」という観点から説明し衝撃を与えました。

感情や寿命、闘争本能など、短期的に見たら、もしくは個体にとっては不利益な行動や性質が多くあります。しかし、それらは遺伝子を後世に残すという視点では有益な因子であり、適者生存によって選択された特徴であると考えられます。

ここで、個体単体の利益より、種全体としての遺伝子の継承が優先されることから「遺伝子を運ぶための生存機械」という表現が生まれます。

ここまでですと、生き物は自身の遺伝子に従い、その遺伝子を後世に継ぐためだけの無機質な存在と感じてしまいます。

遺伝子への反逆の力

一方でドーキンス氏は「我々人間には遺伝子に反逆する力がある」と、遺伝子のための存在からの脱却の可能性を示唆します。

人間には、知性により生命の原理原則を理解出来るという特徴があります。自然選択を始めとした生命の仕組みを知ることは、行動の問題点を理解することを助け、問題となる行動の回避に繋がります。

このことから、人間には遺伝子による本能の支配を超えて行動を変える力があると考えられます。

この2点を踏まえながら、遺伝子の命令に従うのではなく、意志によって理想の社会・未来を目指すことができる人間の可能性「生命の原則に抗って生きる」ことの重要性を主張します。

筆者が本書を通じて伝えたい点

本書は、研究者かつ起業家というバックグラウンドを持つ筆者がたどり着いた「生命の原理や原則を客観的に理解した上で、それに抗うために主観的な意志を活かして行動できる」ことの重要性と方法を紹介する1冊となっています。

我々が古来より引き継いできた特性は、現代社会ではむしろ害となるものも多くあります。例えばストレス反応は、昔であれば肉食動物等の危険への準備と対処に役立ちましたが、身の回りの危険が減った現代では過度なストレスによる精神への弊害などのマイナスの側面が目立ちます。

このような問題点をそのまま受け入れるのではなく、生命の原理や原則の理解により、遺伝子からの支配を超えた行動改善を目指す姿勢が推奨されます。

筆者の主張をステップに分けると下記となります。

  1. 生命の原理や原則を客観的に理解する
  2. 視野を自在に切り替えて思考し、主観を発見・獲得する
  3. 客観性という基盤の上で、自分の主観・価値観に基づいて行動をする

上記の達成により、自然の理に立脚しながらも希望に満ちた自在な生き方が可能になると筆者は主張します。


自然の理に立脚というところからも、全ての原則を無視しろということではないことが読み取れます。様々な視点からの検討により、何を変えることが妥当であるかの検討が重要となります。

本書の構成

本書は下記の5章で構成されており、第1章で前提となる生命原則の整理をします。そして、第2章で本書の中心的な部分となる生命原則への主体的な抵抗方法が主張されます。

第2章の考えを軸として、第3章では個人の人生、第4章では組織や経営、第5章では未来の社会について考察されます。

特に第3章第4章は、筆者の主張となる第2章の考えの実生活への応用方法が紹介されます。

  • はじめに生命の原則に抗って生きるために
  • 第1章 生命に共通する原則とは何か  | 客観的に捉える|
  • 第2章 生命原則に抗い、自由に生きる  | 主観を活かす|
  • 第3章 一度きりの人生をどう生きるか | 個人への応用|
  • 第4章 予測不能な未来へ向け組織を存続させるには | 経営・ビジネスへの応用|
  • 第5章 生命としての人類はどう未来を生きるのか

読んだ感想

読んでみて、生命科学という視点を取り入れることで、短期的には非合理的に見えても長期的な視点では有益となりえる、またはその逆もあり得るなど、物事の見え方が大きく変わることに驚きました。

第3章「一度きりの人生をどう生きるか」では、作者の人生哲学も多く含まれていると感じましたが、これまで頭になかった考え方が多く、それがもの凄く分かりやすく論理的に整理されていたのが印象的でした。

経営者著者の本には、汎用性の無い個人の成功論で構成され応用が利かない内容もあります。しかし、本書は筆者の科学者というベースもあってか、シンプルな図を絡め論理的に主張が整理されており、腹落ち具合が凄かったです。

当初ブログにまとめる予定はなかったのですが、その面白さに急遽優先度を上げて記事を作成しました。

オススメしたい人

人生を考える上でこれまでと違う見方や刺激が欲しい方人生やビジネスに閉塞感・マンネリ化を感じている方にもオススメです。生命科学という切り口で、人生やビジネスを考える機会は少ないでしょう。

そのため筆者の生命科学という切り口は新鮮さがあり、自分の人生、生き方、日々の過ごし方、仕事の取り組み方について、これまでと異なる視点で考えるヒントを得られます。

人生の認識が変わると、自分の価値観に気付けたり、本当にやりたいことを見つけたり、人生の過ごし方を変えたりするきっかけとなります。

生命科学の専門的な話は必要最低限に抑えられており、背景情報も図付きで分かりやすく解説されているので、生命科学のバックグラウンドが無い方でも分かりやすい構成となっています。


私が生命科学バックグラウンドなので、正しく評価できているか不安ですが、本書でも解説される「DNA→RNA→タンパク質」の関係(遺伝子情報から体が作られる仕組み)が分かれば、ストレス無く内容を理解出来ると思います。

次回の記事では本書から得た学びをまとめていきたいと思います。

それではまた次の記事で!

本書で引用される「利己的な遺伝子」生物、人間の一生に関する新しい視点を提供してくれる名著でおススメです!

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