社会人に求められる「発信力」とは?どう伸ばせばいいの?

どうもです!

あなたは「社会人基礎力」という言葉を耳にしたことがありますか?これは、経済産業省が提唱する、仕事や社会生活において必要とされる12の能力要素の総称です。特定の職種や業界に依存せず、あらゆる社会人が共通して求められる基本的な力を指しています。つまり、これらの能力を磨くことで、生涯役立つどんな場面でも活躍できる柔軟な土台を築くことができます。

社会人として求められる12個のスキルとは?

しかし、「12の能力要素」と聞くと、「そんなにたくさんあるの?」と少し尻込みしてしまうかもしれません。でもご安心ください!これらはどれも、日常生活や仕事の中で少し意識するだけで身につけられるスキルです。

このブログでは、それぞれの能力要素が具体的にどんなスキルを指しどうやって鍛えればいいのかをわかりやすく解説していきます。まずは、今日からできる一歩を一緒に踏み出してみませんか?

今回は「チームで働く力(チームワーク)」に分類されている「発信力」がテーマです。

皆さんは、自分の考えや情報を正確に伝える「発信力」に自信がありますか?

社会人基礎力として発信力が注目されるのは、ただ知識や意見を持っているだけではなく、それを相手に伝え、理解・納得してもらうことが必要だからです。

発信力が具体的にどのようなスキルを指し、どのような場面で求められるのかを整理した上で、その鍛え方を解説します!

発信力とは?

発信力とは、「自分の意見や考え、情報を適切に伝え、相手に理解や共感を得る能力」を指します。相手の協力を得る上でも重要なスキルであり、「働きかけ力」を発揮する上でも大事な要素となります。

発信力には下記のような要素が含まれます。

  • 論理:物事をわかりやすく整理し、順序立てて話せる力。納得してもらえる伝え方
  • 感情・情熱:熱意や情感を込め、相手の心に響かせる力。
  • 信頼:信頼を得られる姿勢、相手との信頼関係。

これらの要素は話す場面だけでなく、メール、SNS投稿、報告書、プレゼンテーションなど、あらゆるコミュニケーション手段で必要とされ、目的や状況に応じて手段を含めて伝え方を適切に選択することも重要となります。

発信力によるメリット

「いいアイデアが浮かんだのに、言えなかった……」、「会議で発言したけど、うまく伝わらなかった……」、そんな経験はありませんか?

発信力が身につくと、こうした“伝わらない”もどかしさから抜け出し自分の考えをしっかり伝えられるようになるので下記のようなメリットが期待できます。

メリット具体的に
チーム内での連携がスムーズになる情報共有や役割分担が明確になり、ミスコミュニケーションを回避できるので作業の効率が向上する
周囲からの信頼・評価が高まる話の分かりやすさは信頼に繋がります。
また必要な場面での適切な発信は頼れる人という印象を周囲に与えられます。
アイディアが形になりやすくなる自分の考えを伝える回数の増加と、相手の納得を得られやすくなることの両側面より、自分の提案が採用されやすくなる

これらのメリットより、発信力はチームで仕事を進める上で必須のスキルであり、さらに、自分の可能性を広げる上でも重要なスキルといえるでしょう。

発信力がないことによるデメリット

逆に、発信力が不足していると次のようなリスクが生じます。

デメリット具体的に
誤解やトラブルが起きやすい伝達不足・認識違いにより、仕事の質や人間関係に悪影響が出る
周囲に埋もれてしまう良い意見や実績があっても、伝えられないと評価に繋がらない
モチベーションの低下に繋がる「どうせ伝わらない」と感じることで自己効力感が下がる可能性がある

活動の中でのストレスも増えやりたいことも中々実現できないというもどかしい状況が生まれてしまいます。

発信力が求められる場面

発信力は、社会人として幅広い場面で活用されます。たとえば下記のような場面が想定されます。

  • 職場での報告・連絡・相談
    上司や同僚に的確に情報を伝え、業務をスムーズに進めるために必要です。上司にやりたいことや実績をアピールする上でも有用です。
  • プレゼンテーション
    企画や成果を共有し、クライアントやチームを説得してアイディアを実現するために欠かせません。
  • チームでの意見交換
    ミーティングで自分の意見をわかりやすく共有し、議論を進める力が求められます。
  • SNSやブログの運用
    個人の情報発信力がブランドや影響力に直結する時代です。的確な発信が新しいチャンスを生むこともあります。

皆さんも思い当たる場面があるのではないでしょうか?これらの状況で発信力を活かせれば、より大きな成果が得られるはずです!

また、発信力は友人と会う約束や旅行を提案したり、家族と意見をすり合わせたりなど、プライベートでも大いに役立つスキルとなります。

実際に鍛える方法、実践するために

発信力を鍛える上では、発信の量を増やすという観点と発信の質を上げるという観点の2つが考えられます。

この2つの観点に分けて鍛える方法を考えていきましょう!

発信量を増やすためのアプローチ

発信の頻度が高まれば、自分の考えがより多くの人に届くチャンスも増えますし、継続的な発信は信頼感も生みます。また、発信を繰り返すことで発信内容の質も磨かれていきます。

発信量を増やすためのアプローチを考えてみましょう!

日々の気づきをリスト化しておく

発信量を増やすには、普段からどれだけ思考し整理できているかが重要になります。

発信のタイミングはいつ来るか分かりません。その際に咄嗟に思い付きで喋るのは至難の業です。

突然の機会でも伝えたいことを伝えられるように、日常の気づきやアイディアを言語化してストックしておくことが重要です。

具体的には、日々の会議・ニュースなどのインプットから得られた気づきスマホなどに記録しておくことがあげられます。

K
K

思いついたその場で記録をしておく方法を決めておきましょう。私は仕事関連のものは仕事の時間に振り返れるように会社携帯のOutlookにスケジュール化、それ以外の物は携帯かPCよりOneNoteにメモするようにしています。

発言・発信を習慣化する

慣れない内は、発言・発信に抵抗を感じる人も多いでしょう。そのような場合は行動目標として発言・発信の回数を設定したり、ルーティンに組み込んだりすることが発信量を増やす第一歩となります。

具体的には毎月1回はチームに改善案を提案する、定期ミーティングで1回以上発言・質問をする、毎朝8時にSNSで1投稿するなどがあげられます。

副次的な効果として、発信には情報に対する詳細な理解やイメージが必要になるので会議や業務における着眼点が鋭くなり、インプットの質も上がります。その結果前述の気づきの数も増え、新たな課題やアイディア発見の可能性もあがります。

K
K

質問をしようと目的をもって研修や会議に臨むと、インプットの質の変化に気づけると思います。また、「課題発見力」も社会人に求められる非常に重要なスキルでしたね!

小さな発言から始める

いきなり大きな提案や長文の発信を行うには心理的ハードルが高いかもしれません。受け手側のバイアスの影響もあり、信頼が得られていない段階での発言では納得を得にくいという側面もあります。

発信に慣れながら周囲の信頼を得ていくためには、短く簡単で気軽な内容から発信していくことをおススメします。

SNSであれば、「今日学んだことを一言」「1分で読める感想メモ」などの簡潔な内容から発信してみることで、情報の整理をする習慣付という側面も含め発信力の強化に繋がります。

会社や組織では、疑問や理解度の確認から始めてみたり、会議での発信にハード

K
K

私も本ブログが会社での発信力強化にも繋がっていると感じます。例えばこの社会人基礎力に関する記事は、スキルを伸ばすアドバイスを求められた際の引き出しとして非常に役立っています。

また、改善の提案のハードルが高い時には、問題やもやっとと感じている点をメンバーも感じていないかを問いかける問題提起から始めてみたり、会議での発言のハードルが高い場合は、会議前に個別で感触を高めフォロワー(賛同者)を獲得しておくのも一手です。

小さな発信でポジティブな反応を得られれば、より大きく発信する上での自信に繋がります。

K
K

発信が受け入れられないこともあると思いますが、気にする必要はありません。同じ内容でも相手や方法を変えることですんなり通ることもあったりします。

また、相手の反応がきっかけとなりアイディアが成長することもあります。例えば相手の反応により、客観的な視点が得られたりニーズの有無を確認できたりすことがあります。

発信力の礎となる創造力を育てる上でも、小さな発言から始めることは有用です。

フィードバックをもらう

これは質にも影響するアプローチですが、発信が習慣化し始めたら周囲からフィードバックを得てみましょう。

発信は相手に届いて初めて意味を持ちます。受け手側にどう届いているかを確認することは非常に重要です。

改善点が見つかることで、質の向上はもちろんのこと、次に挑戦しようという意欲が生まれ次の発信に繋がります。

K
K

意見が相手に届かない、もしくは反応がない経験が続くと、モチベーション低下を招き発信力低下に繋がってしまいます。

また、発信の方法にもよりますが、本番の前に助言を受けることも大事なステップとなります。

事前に助言を受けることで方向性の確認や質の向上により発信への自信を持つこともできますし、助言を求めた相手がフォロワーとして応援してくれる心強い存在になってくれることも少なくありません。

成果を可視化する

発信を継続する上で、どれだけ発信したか、どんな結果が得られたか見える化することもモチベーションアップを介して発信量を増やすアプローチとなります。

見える化は振り返りをしやすくなるという点で質の向上にも繋がりますし、「計画力」の回でも触れたように行動目標の達成度の確認にも繋がります。

行動目標が達成できていない場合は、どこに原因があるかを確認することで対策を検討できます。目標自体が適切であったか、より発信しやすい別の方法は無いか、発信力増加のためには上記のアプローチの内どれを強化すればよいかを考え、改善策に取り組むことで発信量の増加に繋がります。

K
K

例えば発信の対象が無いのであれば、インプット情報を増やしたり発信テーマをリスト化したり、発信の上でのハードルが高いのであれば、小さな発言から始めてみたりし試行錯誤してみましょう!

発信の質を上げるアプローチ

次は発信の質を上げるアプローチを考えてみましょう。ここでは発信の質を上げる=相手に理解・納得されやすくなること」として考えていきます。

相手に理解・納得されやすくなるには、論理・情熱・信頼(ロゴス・パトス・エトス)からのアプローチが有効です。ロゴス・パトス・エトスとは古代ギリシャの著名な哲学者であるアリストテレスが「弁論術」で「人を説得するための3つの原則」として記した説得の三原則に該当します。

この3つの原則は古代ギリシアから現代まで語り継がれるほど普遍的に有効な原則となります。それではそれぞれについてアプローチを細分化して考えていきましょう!

論理:ロゴス

相手に理解・納得してもらうには、話を分かりやすく筋道立てて伝える必要があります。その上では論理:ロゴスのある構成を心掛けることが重要です。

K
K

まず何を伝えたいのかが分からなければ、相手を動かすことは出来ず発信の意味もありません。

内容を構造的に整理する

筋道を立てて発信するには、伝えたい情報を整理することが第一歩となります。その上では、「働きかけ力」の記事でも紹介したPREP法が有効です。

  • P(Point):結論、自分が今回主張したいことを最初に述べる
  • R(Reason):主張を裏付ける理由を説明する
  • E(Example):理解を助ける具体例やエピソードを紹介しながら説得力を高める
  • P((Point):最後にもう一度主張を繰り返す

結論・主張を最初に持ってくることで何を言いたいかを明確に相手に伝え、また、その主張を支持する理由と根拠を具体例を交えて説明し、最後に主張を繰り返して相手にパスを渡す流れに情報を整理します。

この順番で整理することで、自分が何を言いたいのかという主張や、その主張を裏付ける根拠が十分であるかを確認しながら、発信を伝わりやすい構成へ改善できます。

PREP法で情報を整理する際は頭の中で考えるのみでなく、主張・理由・例を紙に箇条書きし取捨選択することで、シンプルな構造に磨き上げることができます。

K
K

整理してみると、何を主張したいのかという中身や、主張してどうしたいのかという目的が意外と曖昧であることに気づきます。

また、自分の発言のみでなく他人の主張は何が言いたいのかを整理したり、会議の結論を整理したりする癖をつけると、要点を掴む能力が向上するとともに、いつどの発言をすれば効果的かという発信のタイミングを読む練習にもなります。

今この場で何が重要視されているか、意思決定者が何を懸念しているかというように、他人の発信から受け手や場のニーズを読み取る力発信力の向上に繋がります。

情報源の信頼性を高める

また説得力を増すためには情報の正確性や信頼性も重要となります。客観的なデータをあわせて掲示することで発信の説得力を増すことができます。

逆にデータがないと判断のための材料がないため、相手を動かすことができません。もしくは不正確なデータを根拠としている場合は、発信全体さらには発信者自身の信憑性を損いかねません。

情報量を確保するためには、信頼できるニュースサイトや業界誌を定期的にチェックしましょう。Webで情報を収集する際は検索アシストやサジェスチョン等で情報が偏っていないか注意し、自分と直接は関係しない業界の情報や反対意見に関する情報も意図して収集することが必要になります。

K
K

情報が知らず知らずのうちに偏ってしまうエコーチャンバーについては、「多様性の科学」について整理した過去記事も是非ご参照ください!

また、根拠が正確であれば説得力を増すことができる一方で、不正確な情報の発信は信頼を失う要因となります。

各情報の正確性を高めるため、情報の一次情報(統計や研究結果、出展)を確認し、根拠をもって発信することも重要です。一次情報のリソースを探す先の候補としては、統計調査結果統計局各官庁HP図書館論文についてはGoogle scholarPubMedなどがあげられます。

適切な手段を使用する

また相手に伝える手段も発信の質の上で重要な要素となります。目的や場面に応じてどの手段が相手に伝わる、相手を動かす発信方法か検討してみましょう!

K
K

細かい情報やイメージ図はメールで伝えて、感情や温度感は電話で伝えるという組み合わせも目的に応じた使い分けの一例です。Web会議も普及したので、リモートでも同じ絵・資料を共有しながら説明するのも容易になりました。

発信と言っても方法はプレゼンのみではなく、日々のコミュニケーションにも発信の機会は隠れています。「働きかけ力」で紹介したエレベータートークのような30-60秒の意思決定者・キーパーソンとの短い会話でも物事が進んだり、協力を得られるようになる可能性があります。

そのような場面でも咄嗟に自分の主張を伝えられるように前述の通り日常から情報を整理しておくのが重要です。

また、同じ手段を使用するにしても、図やグラフを使用することで内容が分かりやすように工夫できます。

SNSの登場や便利ツールの登場により個人でも色々試すのが容易であり、絵や文字のみでなく動画も立派な伝えるツールとして広く活用できる時代となりました。

色々な発信方法を試してみて、どの方法が目的や自分の方向性と相性がいいかを試してみましょう!

情熱:パトス

物事を伝える上で論理は必要ですが、それだけでは人の心は動きません。感動という言葉がある通り、感情への働きかけも同時に必要となります。その際に役に立つのが感情を乗せて伝える力(パトス)となります。

「なぜ伝えたいのか」を言語化する

情熱を伝える上では、どこを強調するのかを特定することがまず重要です。

すべてに情熱を伝えようとするとメリハリが無くなり逆に伝わりにくくなりますし、感情的で論理が無いという印象を与えかねません。

まずは落ち着いて話して論理性や信頼感を高めて相手の関心という基盤を作ってから、大事な主張にピンポイントで感情を伝えられると効果的です。

K
K

PREPでいうと二回目のP(Point)で感情を込めて、想いを聴き手に印象づけるというイメージです。

伝えたい情報を整理して何を特に伝えたいのかを整理することでどこを強調するべきかを特定し、その裏にある想いや目指すことを考えることで、どのような言葉をどこで発信すれば情熱が伝わるかを検討できます。

人を動かす上で「なぜ(理由)」は非常に重要な要素です。なぜそれをやらなければいかないかが腹落ちすると、人はやりがいをもって自主的に行動に移せるようになります。

K
K

その組織がなんのためにあるのかというパーパスが、社員の行動の指針として人を動かす力として理念という形で示されれています。

中々相手が動いてくれない時は、なぜその話をするのか、どのような結果を何のためにもたらしたいのかという背景部分を整理して強調する部分を発信前に特定しましょう。

また、パトスを込めるには、「こうしたい」という想いが重要であり、その源泉となる「主体性」も重要な要素となります。受け身の姿勢で発信に情熱を込めようとしても普段の言動と一致しなかったり、自分事に落とし込めず上辺の言葉しか選べなかったり、どこかでほころびが生まれてしまいます。

ストーリーを活用する

情熱を伝える上で、自分の経験談やエピソードなどを組み込んでストーリーとすることが有効です。実際の経験談があると、なぜ自分がその発信に情熱を持っているかという説得力が増し、本気度が伝わりやすくなります。

また、実際の例示を交えて説明することで、聴き手のイメージを膨らませたり自分事として捉えてもらいやすくなります。

K
K

データや論理のみだと他人事として聞き流されてしまいがちです。

自分の情熱を裏付けるエピソードがあれば、PREPのE(Example)として積極的にストーリーに組み込みましょう。エピソードの引き出しを充実させるために、日々の出来事や自分が感じたことを日記として整理しておくことが役立ちます。

これまでそのような取り組みをしたことが無い方は、過去の経験や選択を思い出し、どのようなことに情熱・興味があるかを洗い出してみるのもいいでしょう。

K
K

自分との対談の機会という観点でも日記や振り返りはオススメです!

もし自分に裏付けるエピソードが無い場合も諦める必要はありません。他者のエピソードの引用それに対する自分の想いを組み合わせることも一手です。自分事に落とし込めていれば情熱を込めることは可能です。

内容以外(声のトーン、視線、表情)を意識する

感情を乗せる上で声のトーンは重要な要素となります。内容が素晴らしくても平淡なトーンでは重要なポイントが伝わりづらく、相手の心に届きません。

気持ちを込めたいところはエネルギーを込めて話す。じっくり聞いて考えてほしい所はゆっくり話したり十分に間を取ったりするなど、声のトーンを調整することで聴き手の印象を変えることができます。主なポイントは下記となります。

  • Power:情熱を込めたいポイントに力を込めて強調する
  • Pause:大事な主張の後に間を入れることで相手に情報を整理する時間を設け、理解度を高める
  • Pace:大事なポイントやまとめをゆっくり話すことで、大事であることを聴衆に印象づけると同時に聞き逃しを回避する

また、表情も相手に情報を伝える大事な要素です。内容と表情が一致していることで込めた情熱に説得力を増すことできます。

さらに、相手を見て話すなど、視線聴き手の集中力を維持する効果を持ちます。視線については下記のポイントがあげられます。

  • Lock on:相手の顔に視線を向けて2-3秒止めることで聴き手の集中力を引き出す
  • Look at everyone:全ての人に視線を順番に向ける
  • Keep it random:視線を移す順番はランダムに(一定の順番だと飽きを生む)

話す内容は覚えて原稿は出来るだけ見ず、聴衆の方に目を向けて表情を交えながら話すことが相手に主張を伝えるための最低限の条件となります。

特に大事な場面では、ロールプレイで話す練習をし、録音や他者に見てもらい声・トーン・話のテンポなどに問題が無いかを客観的に確認しましょう。

K
K

また、日本人は控えめな印象ですが、ジェスチャー(身振り・手振り)も非常に有効な手段です。ジェスチャーも効果的に活用できているかもあわせて確認しましょう。

信頼:エトス

発信の上ではどれだけ周囲からの信頼を得ているかも重要な要素となります。同じ発言でも信頼を得ている人の発信の方がどうしても説得力は高まります。人間性というのは発信の正当性を判断する材料の一つとなるためです。

信頼は発信の中で得られる部分もありますが、日々の積み重ねによる影響も大きいです。どのようなアプローチが可能か考えてみましょう。

継続的かつ一貫的な姿勢を心掛ける

信頼を高める上では普段の姿勢が重要になります。

一度の発信で信頼を得るのは困難です。価値ある発信を積み重ねることで徐々に説得力が賛同者が増え、信頼性の獲得に繋がります。

一度の発信で満足せず、いろんな角度から発信を継続することが重要です。

K
K

ただの気まぐれや行き当たりばったりな発言ではなく、想いがこもった一貫性のあるものであることが伝わります。

また、言動の一致というのも信頼を得る上で重要な要素です。

どんなに発言が立派でも、行動が伴わなければ説得力は生まれません。むしろ口だけのいい加減な人という印象を与えてしまうでしょう。

普段の取り組みが自分の主張と一致しているかにも注意を払いましょう。

K
K

チームのために頑張っている人を、周囲の人も応援・協力したくなります。

意思決定者やキーパーソンの意見を取り入れる/フォロワーを得る

自身に信頼が足りない場合は意思決定者やキーパーソンの力を借りるのも一手です。

重要人物に事前に助言をもらいに行き、意見を組み込むことができれば、その発信は重要人物との共有の意見に変わり、発信力を高めることができます。

K
K

その際、助言を求める部分を明確化し、軸となる部分が変わらないようにすることも重要です。

根回しは一見遠回りで非効率と感じる方もいると思いますが、アイディアを固めきってからひっくり返されるリスクを考えるとむしろ効率性が高いと感じます。

さらに、意思決定者は自分より広いもしくは高い視点を持っていることも多いので、その視点をはじめからアイディアに組み込めブラッシュアップできるのは大きな利点といえます。

また、他者の意見を受け入れるというのは、意思決定者やキーパーソンに限らず有効なアプローチです。助言を求めることは相手を尊重していることを意味し、重要感を与えることで協力を得やすくなります。そのような人は大事な場面でフォロワーになってくれる可能性が増します。

K
K

助言を求められて嫌な気持ちになる人は少ないでしょう。

フォロワーは空気を変える上で非常に重要な要素となります。下記の動画はその重要性を示す貴重な資料です。

初め一人の男が半裸で不思議な踊りをしています。周囲は遠巻きで見ているのみですが、一人の男が追随するとあら不思議。老若男女問わず周囲の人がダンスに加わり場の空気が一変してしまいます。

空気を変える上で追随するフォロワーの存在が重要であることが確認できます。

自然とフォロワーが現れることもありますが、その可能性を高めるためには、事前に賛同してくれる協力者を得ておくことが強力なアプローチとなります。

また、相手の意見を取り入れる姿勢は会議や交渉などの発信の場でも大事なポイントです。一方的な発信ではなく、双方向性のコミュニケーションがあることで、両者が納得できる落としどころの発見に繋がりますし、意見を取り入れることは前述の通り相手の協力を得るためにも有効なステップです。

相手の意見を取り入れながら自分の目的を達成するには、ロゴスで紹介した自分の主張と相手の発言の要点の整理を日頃から練習しておくことが役立ちますし、今後紹介する「傾聴の力」も重要な要素となります。

相手のニーズや関心を考慮する

また、発信が自分本位となっていないかにも注意が必要です。自分本位な発信は信頼感を失う原因となります。

相手の立場でも物事を考え、相手にとってのメリットが何かなぜそれが相手にも必要かを含めて伝えましょう。

K
K

相手の立場を考えるという点は「働きかけ力」と共通して重要なポイントとなります。

相手の立場で考える上では前述の通り普段のコミュニケーションで周囲の意見や相手の本音を引き出しておくなど、傾聴力を生かした情報収集能力が鍵となります。

信頼を得ている人の発信を観察する

どのような人が信頼を得やすいか、何が重要視されるかは環境や業界、文化により異なります。

信頼を得ている人を観察し、共通点(言葉づかい、口調、資料の構成など)を分析することで、自分の環境にあわせてアプローチを最適化できます。

プレゼンではKISSERを意識する

KISSER(Keep it Simple, Short, Engaging, Real)」は、プレゼンテーションを効果的にするための重要な指針です。4つのポイントからプレゼンで気を付けたいポイントを確認できます。

ポイント取り組み注意点・意識すべきポイント
Keep it Simple(シンプルにする)情報や内容をシンプルに整理して伝える・伝えたいメッセージを1〜2個に絞る
・専門用語は最小限にする
・複雑な図や表はなるべく避け、直感的に理解できる工夫をする
Keep it Short(短くする)話す内容をコンパクトにまとめる・時間配分を意識し、要点を短時間で伝える
・一つのスライドや話の流れに時間をかけすぎない
・「長話」にならないよう、タイムマネジメントを徹底する
Keep it Engaging(興味を引く)聴衆の関心を引き続ける工夫をする・問いかけを入れる
・例え話やストーリーを活用する
・身振り手振り、声の抑揚を意識し単調にならないようにする
Keep it Real(現実味を与える)自然体で、現実味のある内容を伝える・自身の実体験や具体例を織り交ぜる
・完璧を演じず、正直に話す
・聴衆の共感を得られる「リアルさ」を意識する

SimpleとShortは主にロゴス、Engagingは主にパトス、Realはパトスとエトスの観点から発信力の強化に繋がります。

K
K

Keep it Engagingの「問いかけ」は発信が一方的になるのを回避し、聴き手に自分事として捉えてもらう上で非常に重宝しているポイントで、冒頭やまとめの前にどんな問いかけが有効か考えています。

この「KISSER」を意識することで、プレゼンが聴き手にぐっと伝わりやすくなります!

発信力を伸ばす上での注意点

発信力を鍛える際の注意点として下記2点があげられます。これらが守られていない発信は信頼感の喪失により、発信力の低下という逆効果になってしまいます。

  1. 事実確認を徹底する
    誤った情報を発信すると信頼を失う可能性があります。
  2. 相手の立場を考慮する
    自分本位な発信ではなく、相手の興味や関心に配慮することが重要です。

参考となる書籍

今回は働きかけ力ですでに紹介済みですが、それでも紹介したい非常に参考となる2冊なので改めて紹介します!

「人を動かす」:D・カーネギー氏

働きかけ力でまず参考になるのはD・カーネギー氏の「人を動かす」です。発信の目的が相手を動かすことと考えれば、この本を外すことは難しいです。

本書は自己啓発本の原点と称されており、不朽のベストセラーとして永く愛され重宝されてきた一冊となります。

人を動かす三原則「1 盗人にも五分の理を認める」「2 重要感を持たせる」「3 人の立場に身を置く」に始まり、人間関係を良好にするための30もの原則が実話と共に濃密に詰まっており、ビジネス関連のオススメ書籍を聞かれれば私は真っ先に本書を紹介します。

本書の原則を実践すれば相手を動かすという意味での真の「発信力」が身に付くでしょう

THE RHETORIC 人生の武器としての伝える技術:ジェイ・ハインリックス氏

伝える力という観点で参考になるのはジェイ・ハインリックス氏「THE RHETORIC 人生の武器としての伝える技術 」です。

今回紹介した「人を説得するための3つの原則」を軸として、論理・情熱・信頼(ロゴス・パトス・エトス)それぞれの視点から詳細にアプローチを紹介しています。

発信力を鍛える方法をより具体的に知りたい方にオススメの一冊となります。

おわりに

発信力を高めることは、仕事や日常生活での信頼関係を築き、やりたいことを実現する上で欠かせないスキルです。

最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ練習を積み重ねることで確実に成長できます。

「今日から自分も発信力を鍛える!」と決意して、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか?本記事がその一助となれば幸いです。

それではまた次の記事で!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA