「内向型を強みにする」自分に素直にありのまま生きる:-読書日記

どうもです!前回からマーティ・O・レイニー氏「内向型を強みにする」(訳:務台 夏子氏、パンローリング株式会社)に関する読書日記をまとめています。前回は内向型とは何か、外向型の違いは何かを脳や神経の構造から整理しました。

今回は内向型の人「自分らしく充実して生きるには?」というテーマで本書の内容を整理していきます。

それでは早速本題に入りましょう!

自分に素直にありのまま生きる

自分の気質を理解する

前回記事で自分の気質を変えるのではなく、自身に合ったアプローチが重要であることに触れました。それではそのアプローチを見つけるために必要なことはなんでしょうか?

まず、はじめの一歩は個人診断等により自分の気質や特徴を理解することです。古くから伝わる格言「汝自身を知れ」ですね。

自らの脳の働きを理解することによって、あなたは罪悪感と羞恥心を和らげることができる。自身に最適の環境をつくり出すこともできるし、内向型特有の長所に対する自己評価をより高めることができるだろう。

内向型を強みにする 第3章内向型は生まれつき?-すべては脳のなせるわざ p95 

内向型の強みの一つに内省があるので切り口や方法さえ知ってさえしまえば、内向型の人にとってこの過程は得意な作業かもしれません。

また、本書ではこの自己診断を配偶者や友人に代わりに実施してもらうことも推奨しています。それにより他の人から見えている自分自己認識との間のギャップに気づくきっかけとすることもできます。

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普段無理しているポイントや無意識に行っている習慣の気づきにも繋がるかもですね!また、お互いに実施しあうと相互理解が進み、考えや行動でうまく合わない部分の原因やそのすり合わせ方法のヒントも見えてくるかもしれません!

さらに、複数の視点で自分を見ることで解像度をより高めることができます。自分の強みという観点で自己分析できるストレングスファインダーも過去に紹介しているので、そちらもあわせて挑戦してみてください!

自分の才能を発見しよう!:読書日記

0か100かの極端な思考にご注意

ここで注意が必要な点としては、内向型と外向型の中でもそれぞれ傾向が異なることと、そのほかの気質により同じ程度の傾向の人でも行動パターンが異なるという点です。

前者については今回紹介した自己診断でも両向性の人がいるように、内向型か外向型かという気質は白黒ハッキリした分類ではなく、グラデーションであるということです。

どれくらいかの刺激が最も快適かは同じ傾向の人でも違いがあり行動パターンも異なります。

同じ内向型傾向の人でも内向型の行動パターンを明確に示す人もいれば、外向型の行動パターンも示す両向性寄りの人もいるでしょう。

また、合わせて注意したいのは人の気質は内向型/外向型のみで決まらないいという点です。

本書では右脳型、左脳型の例が下記の通り紹介されます。

右脳優位の内向型の人は数々の才能を持つが、それらの多くは伝統職能には変換しがたい。彼らは創造性に富み、他の人からはエキセントリックに、または、興味深く見えるだろう。(中略)右脳優位の内向型人間は、感情豊かで視野が広い。そのため、人とちがっていることにきわめて敏感である。(中略)

左脳優位の人は、新しい情報を順序よく取りこむ。彼らは、反復学習によって、または無理や要点や理論を理解することで、物事を学ぶ。したがって新しい技術を用いる際は、まずその理屈を理解しなければならない。彼らは文字言語や権威ある情報源の言葉を重く見る。

内向型を強みにする 第3章内向型は生まれつき?-すべては脳のなせるわざ p94-95 

同じ内向型の人でも、他の気質や要因により行動パターンが異なることが読み取れます。

内向型と外向型はわれわれの性格や行動パターンを理解する一つの尺度になりますが、それ一つですべてを説明できる万能なツールでもないという点に注意が必要です。

元気と疲労のサイクルを理解する

気質への理解を深めた後は、実際の体調や行動パターンのモニタリングへステップを進めます。

内向型といっても人によってそのパターンは様々です。自身のリズムがどのようで、エネルギーがいつ最高潮に達していつ落ち込むのか実際の生活の中でモニタリングすることが自分の理解を深めるために重要です。

モニタリングに役立つ問いかけとして本書p213では下記が紹介されます。

  • もっとも集中力が高まるのは、午前か午後か真夜中か?
  • 頭がもっとも疲れているのは、または、もっとも働かないと感じるのはいつか?
  • 運動や体を使う作業をしたくなるのは、いつごろか?
  • 人と過ごすのがいちばん楽しいのは、一日のうちの何時ごろか。

これらの問いかけに現時点で即答できない場合は、エネルギーレベルを観察して日記をつけてみることを筆者は推奨します。

サイクルが分かれば、自分が元気な時に重要な仕事を、疲れそうな時に適度な休憩を取れるようなスケジューリングが可能となります。

不調をセルフモニタリングする

また、自分が不調になった時のサインを知ることも、自分の回復するべきタイミングを早めに察知するためにも重要となります。

本書(p227-228, p241-242)では、不調の例やそのサインを下記のように紹介しています。

  • <刺激過剰の時の反応>
    • 大混乱をきたし、集中できなくなる
    • 行きづまりを感じ、やる気を失う
    • 被害意識を持つ
    • 自分がそこにいる気がせず、傍からぼうっとして見える。
    • 自分に批判的になり、手厳しい内なる声にさらされる
    • 感情のジェットコースターに乗っているような、制御不能の気分になる
    • 内臓がきりきり痛み、神経質になる
  • <エネルギー危機のサイン>
    • 不安、焦り、いらだちを感じている。または、怒りっぽい。
    • 思考力、集中力、決断力が低下している。
    • すべてがめまぐるしく感じられ、混乱し、あたふたしている。
    • 追いつめられた気分で、生きている意味がわからない
    • 枯渇し、消耗し、悩まされ、へとへとになっている
    • 自分が自分でないような気がする

このような症状が出たときに気合で乗り切ろうとすると、エネルギーが枯渇してしまい燃え尽きや体調不良を招く可能性も出てきます。

そうなると長期的な視点では、頑張りが逆効果という結果に繋がりかねません。自分のペースを理解して休むべきところは休むことが自身の力を最大限に発揮する上で重要となります。

自分を取り戻せる時間と場所を確保する

自身が不調であることに気づいたときに必要となるのが、ありのままの自分を取り戻す手段となります。

内向型の人は外向型の人のように活動し続けるやり方は向いておらず、適度な休憩が必要であると筆者は主張します。

多くの社会において、せわしなく駆け回り、多数の人と交流することは、高く評価されている。しかし、そうしたやりかたは、内向型の人には向いていない。(中略)内向型人間が機能するためには、小休止、ひとりの時間、回復のための環境が絶対不可欠だ。この三つがなければ、人生は疲労困憊の連続の長い道のりと化すだろう。

内向型を強みにする 第9章生まれ持った内向性を大切に育てよう p238

回復についても自分に合った方法を見つけることで、効率よく回復することが出来、不調や疲労の早期改善を見込めます。

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上手な休憩方法を知ることで、大事な活動に自身の持ち味を発揮するためのエネルギーを確保できるため、結果的に行動量や成果を増やすことに繋がります。

本書では様々な方法(例えば個人部屋を確保できなくても仕切りを設けるだけでも効果があること等)を多様な視点で紹介しており、すぐに取り入れられる方法もしくはそのヒントが見えてくるでしょう。

個人的には具体的に多くのオススメの休憩方法が紹介されているのが、0からいろいろ考えて試す手間を省けるのでありがたかったです。主なものを下記に抜粋します。(本書p243-245)

  • <15分休憩>
    • 目を閉じる。体の緊張を解く。砂浜、湖、そよ風を思い描く。
    • 短い散歩をする。
    • 伸びをし、あくびをする。うたた寝をする。
    • 宙を見つめ、頭を空っぽにする。
    • ほほえみを誘うような出来事を思い出す
    • 何か数行、日記に書く
  • <30分休憩>
    • 昼寝をする
    • 散歩をする
    • 雑誌の記事をひとつ読む
    • 遠回りして眺めのよい道を通る
    • 習慣を破り、いつもとは逆に何かやってみる。(いつも買わないお菓子を買ったり等)
  • <2時間休憩>
    • 書店へ行き、それまで勉強したことのない分野の棚を眺める
    • 好きな本を持って景色の良い場所へ行く
    • 博物館や歴史的建物を訪れる
    • ハイキングに行き、夕日を見る
    • パートナーとお互いにマッサージしあう
    • つぎの休暇の計画を立てる
    • スポーツをする

一部ただリラックスをするだけでなく、次につながる意味ある時間と実感できるものも含まれているのが印象的です。

内向型の人は自身のテンポの遅さを気にし、休憩を取ることに気後れをする傾向があるため、自分を納得させながら休憩できる方法も候補に挙がっていると感じました。

筆者は自身のリズムを考慮した上で、これらの休憩を事前にスケジュールに組み込んでおくことを推奨します。

また、時には一日中リフレッシュに充てる自分を甘やかす時間も内向型の人には必要であると筆者は主張します。

効果は人それぞれなので、これらの休憩方法を試していき自分に合うものがどれか休憩後どう感じたか検証することも重要となります。

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行動まで時間が掛かる私としては、「つぎの休暇の計画を立てる」が、その場のリフレッシュのみでなく将来の充実した休暇にもつながるので特に良いなと感じました。

周囲の人を理解する、周囲の人に伝える

自己診断等で理解した内容を自分の行動・エネルギー管理に使用するのも有効ですが、それだけでは効果は限定的です。環境づくりには周囲の人との交流や協力が欠かせません。

自分と相手の両者にとって快適な関係を築くには、気質の相互理解も重要です。

相手と自分の違う点を理解することで、どちらかもしくはお互いが無理をするような不安定な関係による疲労から脱出し、お互いありのままに近い無理のない快い関係を構築できる可能性が高まります。

そのためには、相手がどのような気質がありそれによりどのような得手不得手があるのかコミュニケーションの中で確認していくことが大事ですし、同じようにこちらも自分の本音を上手く伝えることが重要です。

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私の経験上ですが、本音を伝えるのは時に摩擦を生んだりなかなか理解してもらえなかったり苦労もしますが、長期的に交流をしたい相手と気兼ねなく本音を言い合えるかけがえのない関係を作れたり、人間関係による疲労が減ったりと長期的にはメリットのほうが大きいなと感じています。

本書では下記の章で各場面とお互いの傾向のパターンに合わせ、どのような注意点・対処法があるか具体的な助言が紹介されます。

気質の違いや組み合わせによるコミュニケーションのギャップを回避するために非常に参考となるでしょう。

  • 第4章:パートナーとの関係-身近な人ほど誤解しやすい
  • 第5章:子育て-親も子も無理をしないために
  • 第6章:人づきあい-内向型人間がパーティを楽しむ方法
  • 第7章:仕事-九時から五時までの脅威

もちろん、ここでも先述の0か100の思考レッテル貼り注意が必要です。相互理解のためのアプローチも急いた分類を挟むと逆効果を生みかねません。

内向型と外向型の気質の差は性格の特徴を作る要素の一つであり、それだけで相手を理解することはできません。

相互理解のためには相手個人にきちんと向き合うという地道な時間が必要となります。無暗な分類ゲームにならないように注意しましょう。

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「木を見て森を見ず」に注意が必要ですね。交流を深めたい相手とより良い関係を築くために相手の好きなことや苦手なことを知る。こんなイメージが丁度いい温度感なのかなと感じました!

以上、マーティ・O・レイニー氏「内向型を強みにする」について、「自分に素直にありのまま生きる」上で参考になりそうなポイントを抜粋しました。

自分を偽って生きることは無理を生み、それがあるレベルを超えると心身の不調に繋がります。

不要なストレスを回避してありのままの自分で生きるためには、自分を知り適切な調整を試みることが必要となります。

一方で、時には自分の気質を超えた活動も自分の可能性を広げるために必要となり、そのコツは次回の記事で整理したいと思います。

それではまた次の記事で!

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