名作を読んでみるシリーズ、「風と共に去りぬ」の第五巻、いよいよ最終回、クライマックスに入ります!初回はこちら。読み応えが凄く最初から最後まで夢中で読み終えてしまいました。
第二の夫のフランクが殺されてしまったスカーレット。自身の行いを悔いるスカーレットに、バトラーが本格的に求婚し、その結果、周囲の反対を押し切り、アトランタで嫌われ者同士の夫婦が生まれることとなります。
性格も似通いお似合い同士と思われる二人ですが、その不器用な恋愛表現も重なり、夫婦関係はギクシャクし始め、その関係を決定的に変える悲劇が立て続けに襲います。
そんな悲劇に対してスカーレットはどう立ち向かうのか?どう変わるのか?はたまた変わらない頑固で強気なスカーレットのままのか?いよいよ物語もクライマックスです!
第五巻あらすじ(新潮文庫より引用)
スカーレットの二番目の夫フランクは敗戦後の混乱のなか殺されてしまった。周囲の避難を意に介さず、スカーレットはついにレット・バトラーと結ばれる。愛娘ボニーも生まれ、レットはことのほか溺愛するが、夫婦の心は徐々に冷え、ある事故をきっかけに二人の関係は決定的に変わってしまう。メラニーは、アシュリはどうなるのか。物語は壮大なスケールに相応しい結末を迎える。
登場人物:今回の記事に関係する人と情報に限定(新潮文庫より引用)
- スカーレット・オハラ:本作のヒロイン。大農園主<タラ>に生まれ、最初の夫チャールズとの間に長男ウェイドを、再婚したフランクとの間に長女エラを得たが、どちらの夫とも死別した。製材所を経営する。
- ジェラルド・オハラ:スカーレットの父。妻エレン亡き後自失の日々を送るが、落馬事故により死去。
- メラニー:愛称メリー。アシュリ・ウィルクスの妻で、ボーと呼ばれる子を生んだ。
- アシュリ・ウィルクス:スカーレットが想いを寄せるウィルクス家の長男でインディアの兄。スカーレットの経営する製材所に勤めつつ、KKKに関わる。
- マミー:もとはエレンの実家に仕え、スカーレットの乳母でもあったオハラ家の使用人
- フランク・ケネディ:スカーレットと結婚し、商店を経営していたが、KKKの活動に関わり落命。
- ピティパット・ハミルトン:チャールズとメラニーの叔母
- ピーター爺や:ハミルトン家の使用人
- ウィル・ペンティーン:復員後、<タラ>を担い、ジェラルド没後にスカーレットの妹スエレンと結婚した。
- ベル・ワトリング:アトランタで売春宿を営む。
- レット・バトラー:南北戦争中、密輸で巨利を得た無類漢。戦後は北部人と結託するが、KKK襲撃事件で南部名士たちの命を救う。
第四部
「まあ、メリーのためも一部あると思いますが、わたしたちをさんざっぱら笑いものにしたいとうのが動機の大半でしょう。わたしたちはあの男をひどく嫌い、それを露骨に表してきました。だから仕返しに、ふたつの選択肢を突きつけて困らせてやろうと言うんですよ。あのワトリングの店にいたと言って、妻もろともヤンキーの前で赤恥をかくか-真相を自白して絞首刑になるか。(中略)」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p18
北部の連邦政府による調査からKKK(クー・クラックス・クラン)メンバーを守るために奔走したバトラー。ベル・ワトリングが経営する売春宿でともに飲んでいたというアリバイを作り、追及の手から逃げ切ります。
戦時中から南部名士の振る舞いを馬鹿にし、戦後は北部の人間と交友を広げていたバトラーが、なぜ自分の身も危険に晒しながら南部名士を守ったのかは疑問が残ります。
作中でも、不本意ながらも目の敵にしていたバトラーにかくまわられた名士の夫人はバトラーの動機について考察し、上記の通り結論づけます。
敬意を示すメラニーのためという善意の可能性を考慮しながら、主な理由は復讐であると考えており、バトラーと南部人との心の距離が明確に描かれます。
個人的には戦争終盤で軍に参加した時のような、バトラーに植え付けられた南部人の魂が騒いだためだと考えますが、ほかの方の考察も気になります!皆様はどうお考えでしょうか?
「またお話できたら光栄だわ。あなたにご恩を受けたことも誇りに思います。またそのうち-お会いできるといいけど」
「いけません」ベルはそう言った。「ふさわしくないことです。それじゃ、失礼します」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p26
南部名士をかくまうために協力してくれたベルにメラニーがお礼を伝えようとするシーンです。ベルはその職業により、他の貴婦人から冷たい扱いを受けていましたが、メラニーだけは対等な関係で接してくれているので恩を感じています。
今回バトラーに協力したのも、メラニーの夫アシュリの名前がいたためだと述べることからも、メラニーに好意を持っていることが分かります。
メラニーがまたお会いしたいと告げますが、ベルは自分との交流によりメラニーに悪いうわさが立つことを嫌い、それを断ります。
メラニーの愛のある交流により救われている人が多くいること、そしてその愛は結果としてメラニーを救うことになるという点と、上記の身分・職業の違いによるやり取りの切なさが印象に残りピックアップしました。
スカーレットは恐ろしくなって身震いをした。ああ、フランクが生き返ってくれたら、やさしくするのに。とびきりやさしくして、あらゆる償いをするのに。ああ、神さまがお怒りのあまり罪を下そうとしているという感じがなければ少しは楽なのに!
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p31
スカーレットがフランクへの過去の行いを悔やむシーンです。しかし、その原動力はフランクへの申し訳なさというよりは、自己保身のためであることが描かれ、スカーレットの打算的で利己的な部分が強調される場面と考え、ピックアップしました。
「しかし彼が死ななかったら、きみはいまでもつらくあたっていたろう。わたしが見るかぎり、きみはフランクと結婚して、彼を苦しめたこと、うかつにも死に至らしめたことを本気で悔やんでいるわけではないんだ。自分が地獄行きになるのが怖いから後悔しているにすぎない。そうだろう?」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p47
そしてその後訪れたバトラーも、スカーレットの本心を上述の通りズバリ指摘します。流石似た者同士、スカーレットの最大の理解者というところでしょうか。
「こっちは魂までさらけだしているのに、まだ疑うのか!いいや、スカーレット、これは誠心誠意の高潔なる求婚だ。(中略)わたしは明日ここを発ってしばらくもどらないから、こんど帰国するまで求婚を繰り延べにしたら、きみはまた小金持ちのだれかさんと結婚してしまうだろう。だったら、お金お持ったこのわたしが結婚すればいいじゃないか?実際問題、わたしも一生、旦那たちの合間を縫ってきみを追いかけてもいられないんでね」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p53-54
「(中略)わたしはあなたのことが好き。どういうことか分かるでしょう。いつかあなたは言ったわ。わたしは愛してはいないけど、ふたりは似た者同士だって。どっちもどうしようもない悪党だからと、あなたはそんな言い方をして-」
「なんてこった!」レットは顔をそむけて口早につぶやいた。「自分の仕掛けた罠にはまるとは!」
(中略)
「それに、あなた前に言っていたじゃない。夫と妻が愛しあうなんて悪趣味の極みだって」
「確かにそう言ったこともあるが、ああ、あれもこれもこんちくしょう!」
(中略)
「(中略)わたしのこと、愛していないんでしょう?だったら、どうしてこちらばかりが愛さなくてはいけないの?」
「そのとおり、愛していないのはお互いさまだ。もし愛していたら、きみにばかりは気持ちを打ち明けたりしないね。(中略)」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p66-68
そして、あらすじにもある通り、フランクが亡くなった直後にもかかわらず、バトラーはスカーレットに求婚します。スカーレットはそれを一度は拒否しながらも、強い押に押し切られ、結局は受け入れます。
時期という問題がありますが、不器用ですれ違い続けた二人がようやく結ばれるのだとちょっとうれしく感じました。(あらすじで既に不穏な空気が漂いつつも・・・。)
しかし、二人の不器用で回りくどいやりとりは、スカーレットが結婚を受け入れても続きます。
バトラーは言葉の節々から、スカーレットが自分を愛しているか、お金のみを目的としていないかを気にかけている様子ですが、過去の自分のセリフが仇となり、スカーレットから愛しているという言葉を引き出すことができません。さらに、自分もスカーレットを愛していないと宣言してしまいます。
その結果、両者ともにこの結婚には愛が無い、似た者同士による結婚という認識のまま結婚生活がスタートすることになります。ここは以前の「自由からの逃走」に関する読書日記で整理した、「相手を欲望を満たすための道具」とした関係として、夫婦関係を進めざるを得なくなります。
この悲しき共有認識を前提とした結婚生活は、お互いの気持ちに対する疑心暗鬼を膨らませ、二人の関係をこじらせていきます。
「どうしてもあの男と結婚すると言うなら、なさればいい。お父さんゆずりのごうじょうっぱりですから、言っても聞かないでしょう。でも、スカーレットさま、これだけは覚えといてください。あたしはどこにも行きません。ここにいて、この結婚がどうなるか見届けますよ」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p83
スカーレットとバトラーの結婚に反対を示しながらも、スカーレットの決定は変えられないと悟っているマミーのセリフです。さらにマミーはバトラーと主人であるスカーレットを「馬具を着けたラバ」と称し、お金や装飾品で馬のように気取っているけど、本質は馬になれず周りの目もごまかせないと忠告します。
どれだけ豪華に周りを飾っても、心を磨かない限り母エレンのような周囲に愛され尊重される真の貴婦人にはなれないという忠告と読み取りました。スカーレットは、どんどん裕福となっていきますが、その一方で人が離れていき、孤独に苦しむことになります。
バトラーはこの比喩をスカーレットから聞き、マミーを切れ者と評価しますが、スカーレット自身はピンと来ていない様子です。
また、「あたしはどこにも行きません。ここにいて、この結婚がどうなるか見届けますよ」というセリフは終盤のマミーの振る舞いに繋がる点も、重要だと感じピップアップしました。
第五部
ときどき気づかれていないと思っているのか、独特の眼でこちらを見つめていることがあった。すばやくふりむいて、そのまなざしをとらえると、張りつめた、なにかを切望し待ち構えるような目をしていることがしばしばあった。
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p101
結婚後、ニューオーリンズへ新婚旅行へ来たスカーレットとバトラー。バトラーはスカーレットに初めての楽しい結婚生活を過ごさせると約束した通り、スカーレットが望む通りの贅沢な旅行を用意し、スカーレットは夢のような時間を過ごします。
しかし、バトラーは何か思うところがあるようで、不思議なしぐさを時折みせます。バトラーが何を期待しているかというのが、バトラーのスカーレットへの想いという本物語の重要なポイントにの考察のヒントになる描写となります。
この黒髪に顔をうずめ、喉に髪を巻きつけているのがアシュリであれば、人生はさぞや完璧なものになるだろうとよく思ったものだ。一度、こんな夢想をしているうちに、吐息をついて窓のほうをむいてしまったことがあり、すると一瞬にしてうなじの下になった腕が鉄のように固くなり、レットの声がしじまに響いた。「おまえの不実でちっぽけな魂が未来永劫、地獄へ堕ちんことを!」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p102
バトラーとの結婚により、これまで夢見ていた本当のお金持ちの暮らしを経験して満たされたはずのスカーレット。しかし、そんな中でも、相手がアシュリであったらという夢想が消えません。
逆境から立ち上がる度に消えたように見えたスカーレットの少女時代からのアシュリへの情熱は、どんな苦難や夢のような時間の中でもしぶとく残り続けていることが分かります。
また、なによりも驚くのは、そのようなスカーレットの不実な思考を見抜くバトラーの観察眼です。スカーレットの気持ちは結婚後もアシュリにあることを悟っていることが描写されます。
これだけの観察眼を持ちながら、スカーレットに必要な言葉を与えることができないというキャラクターが、もどかしさを読者に与えますね。
「ああ、レット、走って走って探しているのに、なにを探しているのか分からないのよ。それはどこまで行っても霧のなかに隠れているの。そこさえ見つかれば、いつまでも安全でいられて、もう二度と寒くてひもじい思いをしなくて済むはずなのに」
「きみが探しているのは、人なのか、それとも物なのか?」
「分からない。それは考えたことがなかったわ。レット、いつかはそこに無事たどりつく夢を見ると思う?」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p105
引き続きの新婚旅行のさなか、スカーレットは深い霧の中で何かに追いかけられる悪夢を見ます。この悪夢はたびたびスカーレットを悩ますものであり、悪夢による不安感から逃れるためにお金への執着を捨てられないと語る場面もありました。
この夢はスカーレット本人が自覚せずに追い求める拠り所となる何かがあることが描かれる場面と考えます。その何かが分かり、それを手に入れるまで、スカーレットにとっての本当の平穏は訪れないでしょう。
スカーレットに必要なものは何なのかというのも本書を読み進める上で考えていて興味深いポイントとなりますね。
「わたしに意地悪をした人たち全員を悔しがらせたいの。それで、盛大なレセプションパーティを開いて、ああ、彼女にあんなひどいこと言わなければよかったって。街中の人たちを後悔させてやるわ」
(中略)
「もう、レット、いい加減にしてよ!お金持ちになれば、決まって人に好かれるものよ」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p110-111
バトラーから新居を建てることを提案されたスカーレットは、思いっきり豪華な装飾にして周囲の羨望を集めることを望みます。豪華な装飾により周りから受ける非難の目と、周囲の羨望を受ける必要性があるのかを忠告するバトラーへのスカーレットの返答が上記となります。
このセリフにより、スカーレットは周囲を見返しながらも人から好かれることを望んでいること、お金の力を過信していることが読み取れます。
この周囲から好かれることは、母エレンやメラニーのような、周囲から敬意と好意を集める心優しい貴婦人という幼少期から刷り込まれた理想像が、心に深く残っていることの描写とも考えられます。
前巻でのバトラーの予言の通り、お金持ちになっても優しさの道を進もうとしないスカーレット。その結果、念願のお金持ちになっても人との距離は狭まることはなく、理想像との乖離が孤独感を強く呼び起こすことになります。
「お知らせしておきます」メラニーは言った。「どちらさまもスカーレットのお宅に行かないという方は、わが家への訪問も金輪際ご遠慮いただきます」
部屋はざわめきで騒然となり、婦人たちはみんな立ちあがった。エルシング夫人は裁縫箱を床にとり落とし、前髪のかつらがずれた格好で部屋に引き返してきた。
「それはなりません!」夫人は声を高くした。
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p123-124
バトラーと結婚し、豪快な拍車がかかるスカーレット。スカーレットとバトラーをよく思わない南部貴婦人達は、新居訪問のボイコット宣言を含め二人への陰口が止まりません。
スカーレットの陰口を聞いたメラニーは、スカーレットに助けてもらった数々の恩と南部名士を救ったバトラーの活躍を強調し、考えを改めるよう求めます。しかし、婦人方は反論を続け、やり取りはエスカレーションします。
しかし、メラニーが今後の絶交を匂わせた瞬間それまで喧嘩していたご婦人方が態度を急変させることから、メラニーのアトランタでの社交における影響力の強さが読み取れます。その影響力の強さ、力強い人間関係、周囲からの敬意、意志の強さの周知は、スカーレットが真に欲するものだったのかもしれません。
個人的に唯一態度を変えなかったインディアの描写が、後の展開の伏線となり印象に残っています。
同時にメラニーが、南部の人々とスカーレットとの交流をかろうじて維持させるための堅牢な盾のような存在であることが分かります。
しかし、スカーレットはバトラーよりこの顛末を聞いても、メラニーを過小評価したままでその存在の有難さに気づけないのも、人間関係に対するスカーレットの盲目性を描写しているポイントです。
「なんだと、あいつ、殺してやる!」
レットは怒りで顔を赤黒くして叫んだ。スカーレットを見おろして、その顔が泣き塗れているのに気づくと、烈しい怒りはいくぶん薄れたが、まだ表情はけわしく固いままだった。
(中略)
「わたしのことがそんなに大切?」スカーレットはいじらしくまぶたを伏せて尋ねた。この質問の裏にどれほどの媚びが隠れているのか見きわめられるかのように、レットは冷静な目でスカーレットを見た。その態度の真意を読みとると、彼はさりげなく答えた。
「うん、大事だとも。なにしろ、わたしはきみに巨額の投資をしてきたろう。失くすの嫌なんだ」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p163-164
バトラーとの子供を授かったスカーレット。しかし、過去に妊娠により思い通りにならないことで苦しんでいたスカーレットは、妊娠に嫌悪と怒りを示します。妊娠について知らせを聞くバトラーは、妻からの言葉を緊張感を持って待っていましたが、その嫌悪と怒りを含む期待外の言葉に目から表情を失います。
ここから、バトラーは妊娠によりスカーレットに何かの変化が生まれることを期待しており、その期待が裏切られたらしいことが読み取れます。
そして、スカーレットは子供を産まずに済む方法を人づてに聞いたことを漏らし、その方法がスカーレットの身にも危険なものであったことから、バトラーが激昂するのが上記の場面です。
バトラーはこの時点で、子どもがいらないのであればメラニーにでもやってしまえばいいと発言するなど、子どもへの執着はみせませんが、スカーレットの命に関わる案件には感情を露わにします。
その一方で、バトラーの様子から自分を大切に思っているか知りたくなったスカーレットからの質問に、大事と思う理由はこれまで大金をかけてきたからだという冷たい返しをしてしまいます。
もはや、財産にもはや執着がなさそうなバトラーなので、激昂した理由はお金ではないと思うのですが、本当の理由を伝えるのを避けるのはなぜなのか、バトラーからスカーレットへの複雑な感情を考察できるポイントと感じたので、ピックアップしました。
「自分から笑いものになるなんて」スカーレットはいらだちまぎれに指摘した。「どうしてそんなことするの」
「分からないか?そうか、そうだろうな。彼女は完全にわたしのもの言える初めての人だからだよ」
(中略)
「この子を産んだのはわたしでしょ?それに、ハニー、わたしだってあなたのものですけどね」
レットは抱っこした子供の黒髪ごしにスカーレットを見て、妙な微笑みを浮かべた。
「ふうん、そうなのかい?」
風と共に去りぬ第5巻 ミッチェル p181
不満はあったものの、バトラーのスカーレットの身を案じた説得もあり、スカーレットは愛娘ボリーを出産します。すると、バトラーはボリーを溺愛し、そのあまりの溺愛ぶりは、アトランタ市民からのバトラーへの評価が少しづつですが変わるほどでした。
その溺愛ぶりに妬ましさと恥ずかしさを感じるスカーレットが小言を言う場面です。
「わたしのもの言える初めての人」という部分が、中々意味深な表現です。「わたしだってあなたのもの」と答えるスカーレットへのはぐらかすような反応は、スカーレットが未だにアシュリへの想いを強く持っていることを見抜いたものでしょう。
スカーレットとバトラーに子供が出来るという大きなイベントを区切りに、次回の記事に進もうと思います。最終巻は解説を抜いても500P超の大ボリュームで、内容も濃密となるので3記事に分かれる予定です。
次回からこの物語の結末のネタバレ色も濃くなるので、これから読む予定がある方はご注意をいただけますと幸いです。
それではまた次の記事で!