油絵の進捗日記-2022年2月後編

2月の油絵日記の後編です。前編はこちら

千葉旅行に行った際に写真を撮った海の夕陽を描いています。前回までの進捗元の写真は下記です。

写真と比較すると全体的に明るい色が多く、どこを強調したいかが分かりにくい状態ですね。また海と空も濃い青色成分が不足しているのでそこを改善していく必要があります。

ここからどのように完成形までたどり着くかの過程をお楽しみいただければ幸いです!

絵の進捗

2022/2/27:雲の明度を落とすことによる太陽の強調

空が全体的に白みがかった色になっており、全体的にぼやっとした雰囲気になっていたので、メリハリをつけようとしました。


霧がかかった風景や、幻想的な世界を表現したい場合はこのままでもいいかもしれませんね。

まず一番のポイントとしてはオレンジで水平線近くの雲を塗っています。周囲より明度が低いオレンジで塗ったことで雲が全体の色の土台となり、絵にグッとした締まりをあたえています。

また下塗りしていた青色が効いており、特に左下の雲に立体感を与えていることが分かります。これは暗い色から明るい色へ重ねていくことで、色の明暗の変化を上手く表現出来たポイントとして勉強になりました。

太陽は円周部分をカドミウムイエローレモンで塗ることで、太陽の光の強さを強調しています。この太陽の光は、今回の進捗の中で最も強く変化を感じる点ではないでしょうか。

また海の方は一旦黄色と青色が混ざって彩度が落ちてしまった点を修正しています。全体的にカドミウムイエロー、カドミウムイエローレモン、チタニウムホワイト、オレンジを混ぜて横向きに階層を作るように塗っています。

太陽に近い方を明るくしたかったので、奥側カドミウムイエローレモンチタニウムホワイト多め、手前カドミウムイエローオレンジを多めにしています。

海の真ん中下らへんからカドミウムイエローが急に強くなってしまったので、自然な勾配ではないですが、2/23と比べると奥行きを感じる構図になっていると思います。


2/23時点の絵は手前側が明るいので海が垂直に下に伸びているに見えて平面的な印象です。

2022/3/5:青系色の存在感をアップ

ここまで光の表現に注力していたので、空と海に欠かせない青色系の色の存在感が薄れていました。この段階でウォーターブルー、スカイブルー、コバルトブルーを使い分けて空と海に青色を足しています。

どうなるか試しながらの制作であったので、一旦青色を強めてまた黄色系を重ねるという反復と試行錯誤により出したい色を目指しています。修正がしやすいというのは油絵の有難いポイントです。

その一方で海の上で手前に伸びている3本の明るい部分は、これまでの調整で他の色が混ざり明るさが下がってきていたので、チタニウムホワイトを塗り明るさを復活させています。

また雲は元の写真の色の再現と、太陽の光をさらに強めることを目的に、ローブラウンで塗って一段階暗さを増しています。岩と砂浜に加え暗い部分の面積が増えたたため、画面全体が更に引き締まってきました。

写真が暗めになってしまったので伝わりにくいかもですが、青色系の追加雲へのローブラウンの追加により、太陽の光がより強調出来ているかなと思います。

その他太陽の右側の光の放射の向きが、太陽の中心から伸びるようにこのタイミングでひっそりと修正しています。

2022/3/6:もう一度海面を黄色系で塗る

3/5に青色を強めた海へ、再度黄色系の色を追加して光の反射明るさの表現を目指します。

一度青色に塗るという工程を挟んだことで、主張が激しかったカドミウムイエローが控えめになり2/27と比べて色の勾配が自然になっています。

また、青色系の色は2/27時点で他の色との混ざりによるくすみが目立っていました(特に海の右側部分)が、3/5に青色系で塗りなおしたことでくすみも目立たなくなっています。

そしてこちらに向かう3本の光の筋についても修正しています。左の二本オレンジチタニウムホワイトを混ぜた色でティッシュで横にこすって塗っています。そして太陽から伸びる一本カドミウムイエローレモンチタニウムホワイトを混ぜた色で同様に塗っています。


筆で塗ると絵具を塗りすぎて光の筋の相対的な明るさが弱まってしまうので、油でよく溶いた絵具をティッシュでこすることで、薄く延ばしています。

この修正により、光の筋から近い海面が明るくなり明るさの勾配が緩やかになりました。2/27、3/5時点の絵は光の筋が他の海面より明るすぎたため、一体感がありませんでした。3/6時点の絵では自然な勾配になっており、光の筋が浮くことなく海面の一部として調和できています。

2022/3/8:完成!

黄色系に寄せた海面をペインティングで削ることで埋もれてしまった青色を復活させ、一番青色が深い手前の波の影ウルトラマリンを加えました。また海面右側で水平線近くの暗くなっていた青色ウォーターブルーで修正しています。

その他、雲の気になる点を修正して完成としました!

元の写真と比べると全体的に明るいイメージとなりました。イメージから離れた部分もありましたが、苦戦していた海の中の色の調和が取れ、しっかりと太陽の光も目立つ一枚となったので出来栄えを気に入っています。

太陽の明るさをもっと際立たせるために補色となる紫系も含めた暗い青い色系を多めに使用したバージョンも作成してみたいなと思いました。

課題の振り返り

太陽の光の強調

この絵のポイントはやはり中央の太陽となります。この太陽の光を強調するために下記3点を気を付けて描きました。

  • 下塗りを含めて余計な色を混ぜない
  • 周囲の色を活用して明暗の差を明確にする
  • 黄色を活用して光を表現する

いずれも予定通り着手できたかなと思います。

ただ、周囲の色の活用という点では、紫を含めた暗めの青色を補色としてもう少し活用できればより太陽の光を強調できたかなと思います。気に入っている構図なので思いきった色使いでもう一枚描いてみようと計画中です。

波の動きの表現

動きのあるモチーフとして波の表現を課題としました。ポイントは波自体があることを表現することと、波に動きをつけることの2点です。

1点目は過去の光の反射が上手くいった作品での経験を活かして、横の階層ごとに色と明るさを塗り分けることで表現できたと思います。色の勾配も太陽の近くを明るく手前側は明度を控えめにしたので、奥行きの表現にも繋がりました。

光の表現が一番うまくいったと自負している一枚

2点目の動きについては皆様の意見も聞きたいなと思っています。絵の前に長時間座っていると波が迫ってくるように感じるのですが、それがどの要素から来ているかピンと来ず、上手くできたと信じこもうという願いの力が働いているような気もします。

改善点としては、海なので波しぶきがもう少しあったほうが自然で、かつ動きをより明確に表現できたかなと思います。

今回課題とした太陽の光表現の中で、計画的な制作を意識することで、最も明るい部分の強調に集中して制作を進めることができました。一方で、中間的な明るさの色のバランス想定が甘かったなと感じています。

特に海面上の太陽からの光の筋で分断された両サイドで明るい箇所と暗い箇所の位置が揃っていなかったので、違和感がないように修正するのが制作後半での課題でした。この中間色の色の勾配やバランスは、どこをどの程度の明るさにするか目星をつけてから取り組むように姿勢を改善します。


どうしても塗ってみないとわからない点もあると思いますが、全部行き当たりばったりでは成長速度も遅くなると思うので・・・。計画と偶然のバランスが大事だと考えています。

雲の表現

雲の表現はずっとスキルを身に付けたいと思っている継続的な課題です。個人的にうまくいったと思ったのは2/27時点での下塗りした補色の活用による立体感の表現です。

また反省点としては影を表現するための暗い色を広く塗りすぎてしまったので、印象がどう変わるかを確かめながら少しずつ範囲を広げていけたらと思います。また、もう一度明るい透明色半透明色で上から塗り直せば明暗の表現を維持したまま本物に近い表現できるかもしれないとこの振り返りのタイミングで考えました。

あとはランダム要素を意識して単調な形にならないように改善します。筆だとどうしても直線的な動きになりがちなので、ティッシュや指などの活用が対策として考えられるかなと検討しています。

今後の課題

公募への挑戦

4月末を締め切りとした公募がいくつかあったので、納得いく作品を完成させて挑戦してみたいと思います。

実力的に公募への挑戦はまだまだ先と考えていたのですが、有難いことにTwiterや周囲の知人から応募を薦めるお声をいただいたので、前倒しで挑戦することを決めました。

期限が厳密な中で作成するのも、公募用の作品の梱包初めての経験なので、ちゃんと間に合うか不安なところもありますが、このブログで宣言して自分を奮い立たせたいと思います!

難易度に見合った新しい挑戦が、楽しみ創造性を生み、成長の速度も高めるというのはフロー体験で学んだ通りです。読書の学びを実際に活かすという意味でも、この挑戦は非常に有意義なものになると期待しています!

複数作品の同時制作

最近強く感じるのは、「人生は何かをしようとするには短すぎる」という点です。COVID-19やウクライナへのロシアの侵攻など、「今の生活がこのまま続くという保証はどこにもないな」と感じる出来事が続いているので、その思いはより強くなりました。

そのため現在の技術の成長速度では遅すぎると感じました。「もっと早く上達したい!」と。

そのためにはインプットとアウトプットを増やすしかありません。そしてインプットとアウトプットを増やすために同時制作が重要となります。同時制作はアウトプットにも直結しますが、一度に多くのテーマを扱えれるようになるので課題の特定関心のアンテナを広げることでインプット量の増加も期待できます。


制作を焦って下の絵具が乾く前に塗り始めて色が混ざってしまうという失敗をしがちなので、その回避にもつながるかもしれません笑

とうことで現在2枚の絵を同時並行しています。片方は公募のための作品なので公開できないですが、もう片方の絵は下記の通り順調に進行中です。

次回作

ようやく油絵日記が油絵制作にほぼ追いつきました。ここで油断せずに、できれば3月の油絵日記の前半部分3月中に公開できるように取り組んでいきたいと思います。

次回作は長野県に旅行に行った際に撮った写真ををもとにした1枚と、今回の夕陽の絵をより思いきった色で塗った1枚を同時並行しています。

夕陽の絵公募に出す予定なので、それまでTwitterやブログに掲載できませんが、いい結果と共に公開できるように頑張ります!!

それではまた次の記事で!

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