学び方を学んでみよう!-読書日記

だんだん書くのに慣れてきた読書日記。前回まで小説の「罪と罰」で7回もかかってしまいましたが、今回はまたビジネス書です。個人的には小説とビジネス書をバランスよく読んでいきたいと考えております。

今回のテーマは「学び方を学ぶ!」ことです。社会人になってから、勉強の重要性をより実感していますが、その効率がどうにも上がらないことが悩みでありました。

今回はその勉強の方法を学ぶことで、効率の良い学び方という生涯役に立つスキルの習得を目指します!

今回の本

今回はバーバラ・オークレー氏、オラフ・シーヴェ氏の「LEARN LIKE A PRO-学び方の学び方」(訳:宮本喜一氏、アチーブメント出版)です。

概要

人生は生涯勉強という言葉がありますが、その勉強の方法について体系的に学ぶ機会はほとんどありません。

効率の良い記憶方法とか、試験勉強は学ぶかもしれませんが、部分的な情報であったり根拠が不明であったりで本当に効果があるのか実感できない方も少なくないしょう。

本書は様々な目的にあわせた学習の方法を根拠や人体(主に脳)の仕組みとあわせて紹介してくれるため、納得感を持って効率の良い学び方を学ぶことができます。

勉強というと学生のイメージが強いかもしれませんが、社会人になっても引き続き勉強は必要となります。

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しかも、社会人になっての勉強はやることをすべて自分で決めなければいけないので難易度が高いです!

自己投資のための勉強で中々スキルが身につかない、知識として定着しないと悩んでいる方、研修で習った内容を使う前に忘れてしまうという悩みがある方は少なくないでしょう。

これらの悩みを解消するためにも、時間を有効活用するためにも、自分の学び方を再度見直すというのは長い人生に対して見返りが多い自己投資となります。

その見直しの上で本書は非常に参考になるでしょう!

章の構成

本書の構成は下記の通り10章から成ります。タイトルだけで内容がわかりづらいところは後ろに補足しています。

  • 第一章:どこまでも集中し、そして怠けぐせに打ち勝つには
  • 第二章:行き詰まりを克服するには:拡散モードと集中モードの使い分け
  • 第三章:より深く学習するには:脳の仕組みを活用して学習を効率化させる方法
  • 第四章:作業記憶を最大にして、上手にノートをとるには
  • 第五章:記憶し内在化するには:情報を知識として活用できる形で蓄積する方法
  • 第六章:自律心がないときでも、それを発揮するには
  • 第七章:自分自身をその気にさせるには:努力をするための意欲を作り出す方法
  • 第八章:効率よく読書をするには
  • 第九章:試験で好成績をあげるには
  • 第十章:戦略的な学習者になるには:メタ認知の活用について

目的に応じて細かく章分けしているのが特徴です。

王道的で学習の基礎部分を構成する方法が多いため、すでに部分的に知っている情報が多いという方もいらっしゃると思いますが、細かく内容が整理されているため、その情報を体系化して整理することが可能です。

そのため、自分に必要な情報をピックアップしやすいですし、その分、何が自分に必要なアクションかのピックアップもしやすいです。

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1つでも気になる章があれば、是非立ち読みで手に取っていただき、気に入れば購入や図書館で借りてみることを検討いただければと思います!

例えば私は習慣化を課題としているので、第六、七章が非常に参考になりました。

また、第二、三章の内容はなんとなくの知識しかなかったので、是非自分の習慣に取り入れてみようと思います。

読書では知識を蓄えるのみではなく、行動や実際の成果にいかに繋げるかが重要です。

その点でも、本書は根拠を含めて紹介されているので納得感を持って具体的な行動につなげやすいという特徴があります。

筆者について

バーバラ・オークレー氏

20代後半より、アメリカ国防省語学学校で身に付けた学習方法を駆使し、高校時代苦手であった理系の学習を再開し、現在光学の教授を務める。

「学習方法を身に着ける(Learning How to Learn)」という世界最大の公開オンラインコースの1つを教えています。

英語の勉強にもなるので、興味がある方はそちらをご参照するのもおすすめです。

時間が限られる方はTED talkもおすすめです。

再生回数180万回、Good3.9万のビッグコンテンツです。(2021/11/11現在)

オラフ・シーヴェ氏

10代で自身の学習方法を改善することで、平凡な成績からオックスフォード大学入学まで成績を伸ばした経歴をもちます。

教育テクノロジーのスタートアップ企業の創業者兼CEOかつ、世界最大の教育テクノロジー企業の教育コンサルタント兼スペシャルアドバイザーを務める等、教育分野のプロフェッショナルですね。

国際的なベストセラー「ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強方法」(片山奈緒美訳、TAC出版、2018年)の著者です。

読みたいと思った理由

ここ数年は定期的に学習方法を見直ししていたのですが、今年まだ出来ていなかったので本書を手に取りました。

社会人になってから勉強の難しさを痛感しています。

学生時代は課題やテーマが与えられますが、社会人ではすべて自分で考えて選する必要があります。

テーマを選ぶのだけでも大変ですし、試験という基準も無いことが多いため、自分の人生に役立っているか、どうすれば役立つのかの判断も非常に難しいです。

勉強を自分の人生に効率よく活かすのがこんなに大変とは思いませんでした。

また、趣味も多くなかったので多くの時間を勉強に費やせたことから時間の物量によるごり押しで点数を取れてきたので、自分に勉強が苦手という印象がなかったので、この勉強方法へのテコ入れは遅くなりました。

現在ではテコ入れが遅くなったために無駄にした時間の多さを重く感じ、勉強方法を改善する重要さを痛感しています。

そのため、継続的に勉強方法を見直すようにしており、今回は基礎的な方法を改善したくて本書を選択しました。

読むのをオススメしたい方

まさに勉強盛りの学生の皆様

一番内容を漏れなく活かせるのは勿論学生の皆様だと思います。

試験や授業の過ごし方、ノートの取り方はまさに学生に刺さる内容だと思います。

勉強方法は人生を通して必要になるスキルなので、悪い癖の改善は早ければ早いほど、その効果は大きくなります。

なんとなくでやっていたことも、理論や根拠をあわせて学ぶと、どの方法がいいのかを悩む時間を減らし、継続するモチベーションもアップします。

特に学生時代は色んな勉強方法が噂のように流れてきて混乱しがちですので、どれが合理的な方法か判断するかの基準になると思います。

人生は生涯勉強!つまり、全ての人

といっても、冒頭で申し上げた通り、勉強は生涯必要なものです。変化が激しい現代では常に新しい情報を吸収して変化に柔軟に対応していくことが重要になります。

そのため社会人になっても、たとえ仕事を辞めても、勉強をする意味・意義は無くなりません。

その効率を高めるのは早ければ早い方がよいのはその通りですが、生涯を通して重要なプロセスの改善ですので、遅すぎることはありません!

もし、日々の頑張りの成果を感じられない場合は、取り組み方法に改善の伸びしろがあるかもしれません。

成果があがれば日々のモチベーションや充実感もあがります。

そのために、学習方法や勉強方法の見直しを検討するきっかけとなる一冊です

読んで感じたポイント

一番印象に残ったポイント:「集中モード」「拡散モード」の使い分け

第二章で紹介された「集中モード」と「拡散モード」の使い分けが印象に残りました。

勉強というと、何か情報を吸収しようとしたり、解決のために考えたりする集中している時間が最初に想像されます。

しかし、集中モードでは使用する脳回路も選択されるため、他の回路や発想への転換が難しく視野が狭くなるデメリットがあります。

物事を深く考える上で、必要なプロセスでありますが、このアプローチのみでは新しい問題や難しい問題への対応は難しくなります。

一方、集中モードでない拡散モード時は、思考がランダムに拡散し自由に飛び回ります。

この拡散により、集中モードでは起きなかった幅広い情報の結びつきが可能となり、「アハ体験」のような問題への対処方法新しいアイディアを思いつきやすい状態になります。

故事でも三上として、集中していないリラックスした時の方が良いアイディアが出てくるということは認識されてきました。

本書ではそのメカニズムやどうすればこの使い分けを上手にできるかのアプローチを紹介しているため、「アハ体験」を意識的に生み出しやすくする習慣を作ることが可能となります。

なんとなく知っているのか、自分で意識して取り組むのかではその再現性効率に大きな差がありますね。

私自身の活用予定

ここで紹介された「集中モード」と「拡散モード」の使い分けは特に意識して日々の生活に取り入れていく予定です。

早速このブログも記載と推敲のタイミングを意識的に分割し、記載という拡散&集中モード記載と推敲の間の完全な拡散モード推敲という完全な集中モードを作ってみました!

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普段休日を含めて3,4日掛かるところを仕事終わりの2日で書けたので効率の改善を実感しています!

この効果は一般的に勉強と聞いてイメージされる活動以外でも幅広く役に立つと思います。

すべてを一度に解決しようとしないで、頭の中で悩んでいるだけの時間を減らすことで創作活動の効率化が可能となるでしょう。

一度に解決しようとすると心の中のノルマ・ハードルも高くなるので、作業開始が億劫になりがちです。人は始めるまでが最も時間が掛かるので、心の中のノルマ・ハードルを下げることで、作業を始めるまでの無駄な時間の省略が期待できます。

下記記事で学んだ難易度が高い課題の中の簡単な作業から取り組むというテクニックと組み合わせることで、時間の使い方を効率化しながら作業自体の質の向上に繋がるでしょう。

後回し癖から解放されるための20の方法とは?-読書日記

ブログではテンプレートだけを先に書いて、何を書けばいいかイメージを作っておく、油絵ではとりあえず下書きだけして、どう描くかという考える種を頭の中に埋め込んでおく等を実践していく予定です。

自分ならこう取り入れる!-備忘録用アクションリスト

その他実践に取り組む予定のもの備忘録としてリストアップしてみました。

  • 集中できる環境で作業する:携帯電話やテレビが無い状態で作業する(もしくは通知をoffにする)
  • 拡散モードの活用:難しい問題は最初に少しだけ手を付けておき、一度にまとめて解決しようとしない
  • 積極的学習を心掛ける:どう役立てるかを意識し、他者に説明できるレベルまで理解できるように取り組む
  • 切り替えを挟む:1つのテーマに限定して取り組まない。複数のテーマ間で切り替え、ニューロンを活性化する
  • コツを内在化する:対象になぜ惹きつけられるか、どのような工夫があるかを習慣的に考察する
  • 効率的に読む:事前に全体像(目次、見出し、表や図)を把握する、読んで浮かんだ考えをまとめる

皆様のアクションリスト検討の参考になりましたら幸いです!

面白いと感じた点:積極学習による勉強効率の向上

第3章で紹介される積極学習というキーワードが個人的には新鮮でした。

ただ情報をぼんやりとながめるのみでは勉強の効率はあがらず、効率的な学習のためには、問題やテーマへの取り組み方が重要となります。

学習しているときは、自分の頭を叱咤激励しながら”積極的に”学習することが大切だ。問題の答えを見るのは禁物だ。反対に、自分の力で積極的に問題に取り組もう。

LEARN LIKE A PRO-学び方の学び方 p71

積極的な学習の核心には、”回収活動”と呼ばれるものが存在している。言い換えれば、それは、ただ目の前の対象を眺めているだけではなく、自分の記憶から引き出せるなら、それを見たい、あるいは自分の頭でそれを活用したいという活動だ。”回収する”対象の数が多くなればなるほど、そしてその対象にまつわる一連の文脈を回収する範囲が広くなればなるほど、ニューロンの輪が強くなり、結合する範囲も広くなる。

LEARN LIKE A PRO-学び方の学び方 p73

忙しい中、折角時間を作って研修や講義を受けたのに自分の身になっていないと感じる場合は、その取り組み方に改善のポイントがあるかもしれません。

研修の時間≠成果ではなく、そこで何を学んだか成果に繋がります。

その学びを強化するのが積極的学習で、そのために必要なアプローチで紹介されています。

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私自身も研修を受けることが目的になって、そこで何を学べばいいかどう準備すればいいかという目的意識が欠けていることがあるなと反省しています・・・。

研修の際は、受講者の集中力を高めるために、質問や自分の行動に移せるものはないかを考えながら受講するようになんとなくで指導していました。ただ、その根拠や理由までは説明できていませんでした。

しっかり言語化してメカニズムがわかりましたので、どうしてそうすればよいかを今後は上手く説明できると思います。

自分自身の学習が受け身になっていないかも、定期的に注意していこうと感じました。

また、本ブログが要点整理他者への紹介というアプローチにより、積極的学習を促す効果があると知り、モチベーションがアップしましたのも大きな収穫でした。

行動に取り入れるなら?

本書の優れた点として、行動に移すためのポイント各章の終わり巻末付録にまとめてくれています。

ビジネス書を読むときは、いかに今の自分の行動に活かして習慣をより良いものにするかが、成果に繋げるための第一ステップですので、この行動に移すためのポイントの存在は非常にありがたいです。

その内容をそのままエクセルにまとめることで、自分用のチェックリストを作れるでしょう。

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確実に自分のルーティンに組み込むために、私も優先順位が高いものにしぼって自分のリマインダーに追加しました。

また、有用なアプリの紹介も多いので、行動を変える手助けとなるツール選びの参考にもなると思います。

注意点としては、海外の情報を前提に書かれているので、ものによっては日本語ベースの自分に合うものを選ぶ必要があります。

第一章で紹介される短期集中用のポモドーロは有用なアプリが色々ありますね。私も以前から活用しています!

これまでは休憩時間にオカリナを吹いたりしていましたが、本書を読んで集中力の回復の重要性を知り、リラックスのために簡単な曲を選ぶのがいいのかなと感じました。

また、携帯電話の使用は休憩の効果を阻害する効果があるので、アプリではなくスマートウォッチやタイマーを準備する方が効率がよいでしょう。

どうしても携帯アプリを使用したい場合は機内モードや集中モードにするのも有効と考えます。

終わりに

どうすれば効率よく学べるかというテーマは最近注目度がより高くなっています。独学という言葉も5年ほど前と比べて本屋でよく目にするようになりました。

いかに継続して効率よく学んでいくかについて、重要性危機感を持っている人が増えている証拠と感じます。

今回の本は突飛な方法は紹介されていないので、近道や裏技を求める方には物足りなさを感じるかもしれません。

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学問に王道なしといったところでしょうか。

その分、幅広く汎用的なメカニズムやテクニックが紹介されているので、役に立つ情報に出会う確率は高いと思います。

また、自分の方法を体系的に見直し、悪い癖を改善する上での参考として有用な一冊です。

根拠となる論文や研究も細かく紹介されているので、この分野に関心が高い方は参照元よりさらに深い学習をするのも面白いと思います!

ちょびっと油絵の進捗日記

軽井沢の白糸の滝を描いています。最近は朝活で効率よく活動時間を作れていると思います。

今週末はついに滝などの水の部分の表現に取り掛かるので、うまく描けるかわくわくとどきどきが入り交じっております。

油絵の進捗日記もできれば明日、遅くても今週末には更新する予定です。

それではまた次の記事で!

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