今年2冊目の読書日記です。
今回のテーマは世界で起こっている重要なトピックを数字をによって適切に把握すると同時に、数字やデータを見る時の注意点を学ぶことです。
情報が溢れる現代社会で、表面的もしくは断片的な情報に惑わされないための心構えを学ぶことが目標です。
それでは今回の本を見ていきましょう!
目次
今回の本
今回読んだ本はバーツラフ・シュミル氏の「Numbers Don’t Lie~世界のリアルは「数字」でつかめ!」(訳:栗木さつき氏、熊谷千寿氏、NHK出版)です。
本題はそのまま訳すと「数字は嘘をつかない」となります。
筆者は冒頭で「事実(ファクト)をはっきりさせる」ことを本書の目的として掲げます。
そしてその上で定義や単位が不明瞭な数字や出所が不明なデータが溢れる現代において、世界の実態を掴むことの難しさを指摘します。
筆者は正しい数字を正しく使うことの重要性を強調し、数字が世界の姿をどのように明らかにするかを示します。
本書は信頼性の高い1次資料の数字を用いながら71の幅広いトピックを筆者の切り口により紹介する1冊です。
本書に込められた筆者の想いは下記の通りです。
読者のみなさんが本書を読んで、この世界の姿を少しでも理解してくださることを願っている。わたしたち人間がとてつもなくユニークな存在で様座な事柄を深く理解しようと飽くなき努力を重ね、発明や発見を続けてきたことに、きっと胸を打たれることだろう。数字はウソをつかない。その事実のみならず、数字がどんな真実を伝えているのかを、さまざまな例を挙げながら説明したい。
はじめに p17
筆者について
バーツラフ・シュミル氏はカナダのマニトバ大学の特別栄誉教授であり、エネルギー、環境変化、人口変動、食料生産、栄養、技術革新、リスクアセスメント、公共政策と幅広い分野で研究に従事されています。
どれも重要度と難易度が高い問題ばかりですね.。
世界中の様々な研究所や国際機関で顧問を務め、日本政府主導の気候変動対策を協議する運営委員会にもメンバーとして参加されています。
その活動範囲は学術研究のみに限らず、世界の問題の実際の解決のための取り組みにも従事されている方です。
章の構成
本書は下記の通りの幅広い7つの分野について各10、11のトピックで構成されます。
- はじめに
- 第1章 世界の人々-暮らしはどう変化して、どこに向かうのか?
- 第2章 世界の国々-グローバル時代における力関係を読み解く
- 第3章 食-身体にも地球にもやさしい「食べ方」とは
- 第4章 環境-賢い選択をするために、知っておくべきこと
- 第5章 エネルギー-燃料と電気をめぐる不都合な真実
- 第6章 移動-この200年での驚異の進化とこれからの課題
- 第7章 機械-現代世界の基礎をつくった発明品とは
- おわりに
本書を読む上で
本書を読む上での注意点は各トピックの深堀りを目的とする本ではないという点です、
71のトピックについてそれぞれ5ページ前後が割かれる構成となり、トピック同士も基本的に独立しています。
本書の元となったコンテンツの影響で、ショートコラムの詰め合わせという印象がピッタシかもしれません
そのため各トピックについて情報を網羅したいと考えている方には少し物足りなさを感じるかもしれません。
情報の深堀をしたいと思う方は、本書をそのトピックを知るための入り口として使用し、さらに詳細な情報は自身で自己学習するという追加のステップが必要です。
その一方で各トピックが簡潔にまとめれられているので、初めて触れるトピックでもストレス少なく読め、本当に関心がないトピックを躊躇なくスキップできるというメリットがあります。
本書を選んだ理由
変化が加速し情報にあふれた現代では、世界の状況を把握することがますます難しくなっています。
このような状況は、世界に対する人々の無関心か、表面的な切り取られた情報を基とした誤った主張や行動を引き起こす原因となります。
実際私も、環境や食糧問題が重要であるとは感じてはいるのですが、何が対応すべき問題なのかという把握や具体的な行動は出来ていません。
自身の働く業界外のことは、何から調べればいいのかもわからないというのが実情です。
そのため、世界でどのようなことが起きているか主なトピックを知ること、そして情報が適切であるかを判断する方法を知ることを目的に本書を手に取りました。
読むのをオススメしたい方
知見を広げたい方
普段触れない分野も含めて現在の世界のトピックや問題を知るきっかけとする読み方です。
毎日少しずつ読み進める教養本も人気がありますが、本書も各トピックが短くまとまっているので毎日少しずつ読み進める読書とも相性が良いです。
また、世界の現在の問題を取り扱っているので、実際の行動や判断に使える知恵につなげやすい内容となっています。
どれも複雑な問題ですのでいきなり大きなアクションはできないかもしれませんが、本書を通じて得た関心が新しい取り組みを始める第一歩に繋がる可能性はあります。
また本書で幅広く情報を入れておくことで、今後関連するトピックと出会った時に情報を吸収する効率を高められます。
データや数字の見方を知りたい方
数字とデータという情報の洪水の中で、どれが信頼できる情報かを判断する方法やデータを見る上での注意点を学べます。
特に終わりの部分で主張される下記が重要な点となります。
本書でみなさんに伝えようとしてきたのは、物事は深く、同時に広く、見なければならないということだ。たとえ、かなり信頼が置けるものであろうと、それどころか、申し分ないほど正確なものであろうと、数字はかならず多角的な視点から見なければならない。情報に基づいて絶対的な価値を評価するには、相対比や比較比という視点が必要なのだ。
おわりに p332
実際にどのように多角的な視点で見るのか、どのように適切な比較を選択するかという例を71のテーマを通して学ぶことができます。
数字アレルギーの方
数字により世界を見るという内容なので、「数字のことは考えるのも嫌だ」という数字アレルギーの方には一見合わない内容と感じるかもしれません。
しかし本書は、幸福度や食糧と健康の関係など身近なテーマも含めて、数字の重要性を説く一冊となっているので、数字の持つポジティブな効果を実感できます。
また、前述の通り5ページ前後のほぼ独立した71のテーマが用意されているため、一日少しずつ読み進めたり、関心のあるトピックだけ選んで読んだりというアレンジをしやすいです。
わたしは機械の章はトピックによっては少しハードルが高いかも・・・と感じました。
そのため数字に対するネガティブなイメージを払拭して、数字の持つ力を知るきっかけとすることが可能です!
記事後半では本書を通して学んだ点とどのように行動に繋げるかという点を整理していきます。
それではまた次の記事で!