どうもです!皆様GWはいかがお過ごしだったでしょうか?お休みの方はいいリフレッシュが出来たでしょうか?
私は最近お落ち着き気味の活動を徐々に回復していくことを目標にして過ごしました!そして、その期間まとめてた内容を日記でにしていきます。
今回取り扱うのはマーティ・O・レイニー氏の「内向型を強みにする」(訳:務台 夏子氏、パンローリング株式会社)です。
テーマは「内向型」で、以前スーザン・ケイン氏の「Quiet-内向型人間の時代」で扱ったことがあるテーマです。
「人見知りな自分にもう悩まない?」内向型人間の時代-読書日記1/2「Quiet-内向型人間の時代」では内向型と外向型の違いが生まれるメカニズムや内向型の人がその強みを発揮するためのコツが紹介されていました。
本書は同様の内容も扱っているのですが、内向型の人がありのままの自分を維持しながら人生を充実させるコツを各場面にあわせて具体的に紹介していたので、こちらの本も取り扱うことにしました。
それでは早速本題に入りましょう!
本書について
筆者について
マーティ・O・レイニー氏は自身も内向型であり、アメリカの心理療法士で内向型人間に関する研究の第一人者です。
本書の特徴として、筆者が心理療法士として多くのクライアントの相談を受けてきた経験を元に具体例が紹介されます。そのため、各場面にあわせたエピソードが充実しており、本書の説得力を高めながら読者の理解を助けます。
内向型といっても個人により性格は異なりますしおかれた状況も様々です。
心理療法士である筆者だからこそ多様な場面に対し実践的なコツが紹介可能であり、読者は自分に必要なコツを見つけることができます。
本書の構成
本書は下記のように3部、10章で構成されます。
- はじめに
- 第Ⅰ部 陸に打ちあげられた魚-内向型人間とは?
- 第1章:内向型と外向型はどこがちがう?
- 第2章:内向型人間はなぜ誤解されるのか?
- 第3章:内向型人間は生まれつき?-すべては脳のなせるわざ
- 第Ⅱ部 外向型の海を泳ぐ方法
- 第4章:パートナーとの関係-身近な人ほど誤解しやすい
- 第5章:子育て-親も子も無理をしないために
- 第6章:人づきあい-内向型人間がパーティを楽しむ方法
- 第7章:仕事-九時から五時までの脅威
- 第Ⅲ部 自分にぴったりの人生をつくる
- 第8章:内向型の自分をまもるために
- 第9章:生まれ持った内向性を大切に育てよう
- 第10章:外へ-あなたの光で世界を照らそう
第Ⅰ部では内向型と外向型の違いを紹介しながら、なぜそのような違いが生まれるのかを脳や神経の仕組みから説明します。
第Ⅱ部では内向型の人が日常を快適に過ごすためのコツが各場面に合わせて紹介されます。
個人の経験による持論ではなく、様々な場面でのコツが具体的なエピソードも交えて紹介されているので、非常に納得感が強い内容になっています。
例えばパートナー関する章では夫が内向型で妻が外向型、妻が内向型で夫が外向型のパターンや、内向型同士のカップルの場合の注意点まで場合分けされて紹介されているので、実際の自分の状況にあわせて活かしやすいです!
第Ⅲ部ではありのままの自分を守りながら、内向型の強みを活かして人生の可能性を広げるコツが紹介されます。今回は主にこの第Ⅲ部の内容を中心に整理する予定です。
内向型と外向型
内向型、外向型とは?
以前の記事と重複する点も多いですが、内向型と外向型とは何かについて簡単に整理します。内向型と外向型とは、著名な心理学者カール・ユングによる「心理学的類型」と題した本の性格理論で登場した概念です。
内向型と外向型は下記のような特徴があるとされます。
- 内向型:自己の内部の思考や感情に心を惹かれ、ひとりになることでエネルギーを充電する
- 外向型:外部の人々や活動に心を惹かれ、十分に社会で活動しないと充電が必要となる
その後この分類について多くの研究がされており定義も一様ではないのですが、その中で共通する定義は上手く機能するために必要な外部からの刺激レベルが異なるという点です。
外向型の人は刺激が少ないと物足りなさと不安を感じ、快適な状態を保つために多くの刺激を必要とします。そのため、人付き合いに積極的かつ主導的で、新しい挑戦や社会での活動を強く求めます。
一方で内向型の人は少ない刺激でも十分な刺激として受け取ります。そのため、ゆっくりと慎重に行動し、限られた交友にエネルギーを注ぐことを好みます。逆に刺激が強すぎる環境では居心地の悪さを感じます。
あなたは内向型?外向型?
ここで気になるのは自身がどちらの傾向が強いかという点だと思います。本書p33-35で紹介されている自己診断テストとして、下記30の項目をくつろいだ気分の時に実施してみてください。
第一印象で〇×を瞬時に決め、邪魔の入らない環境での実施が推奨されます。
- 休息が必要な時は、グループで過ごすよりも、自分だけか、二、三人の親しい人と過ごすほうが好ましい
- プロジェクトに携わるときは、細切れでなく、まとまった長い期間を与えてもらうほうがいい。
- 話をする前に予行演習を行うことがよくあり、ときには自分用にメモをつくる。
- 概して、話すより聞くほうが好きだ。
- 人から、物静かだ、謎めいている。よそよそしい、冷静だと思われることがある。
- 祝い事は、大きなパーティーを開くより、ひとりの人か、数人の親しい友達だけでしたい。
- 通常、返事をしたり、話したりする前には、考えなくてはならない。
- たいていの人が気づかないような細かなことに気づく。
- ふたりの人が喧嘩をした直後には、緊迫した空気を感じる。
- 何かすると言ったら、ほとんどの場合、その通り実行する。
- 仕事に締め切りや緊急性があると、不安を感じる。
- あまりに多くのことが同時進行していると、朦朧としてしまう。
- 何かに参加するかどうか決めるのは、しばらく見学してからにしたい。
- 長期的な人間関係を築くほうだ。
- 他人の邪魔をするのは好きでない。邪魔されるのも好きでない。
- たくさんの情報を取りこんだときは、整理するのにしばらく時間がかかる。
- 刺激の多すぎる環境は好きでない。世間の人がなぜホラー映画を見にいったり、ジェットコースターに乗ったりするのか、さっぱりわからない。
- 匂い、味、食べ物、天候、騒音などに強い反応を示すことがある。
- 創造的で想像力に富んでいる。または、そのいずれかである。
- たとえ楽しんだとしても、社交的な催しのあとは消耗してしまう。
- 人を紹介するより、紹介されるほうが好きだ。
- 人のなかや活動の場に長くいすぎると、不機嫌になることがある。
- 新しい環境には、しばしば居心地の悪さを感じる。
- 人に家に来てもらうのは好きだが、長居されるのは好きでない。
- 怖くて折り返しの電話をかけられないことがよくある。
- 人と会ったり、突然発言を求められたとき、頭が空っぽになることがある。
- ゆっくりと、あるいは、とつとつとしゃべる。疲れているときや、考えながら話そうとしているときは、特にその傾向が強くなる。
- ちょっとした知り合いは、友達とは考えない。
- きちんとしたかたちになるまで、自分の作品やアイディアは他人に披露できないと感じる。
- 周囲の人に、自分で思っているより頭がいいと思われて、驚くことがある。
上記回答の〇の数により傾向を診断することが可能です。
私は25個の〇でした。皆様はいかがだったでしょうか?
- 20~30の〇:完全な内向型。自分のエネルギーの流れを維持する手段と、自分の脳の情報処理の方式を理解することが極めて重要。本書は、あなたが内部の情報を活かして自分の道を切り開く一助となるかもしれない。
- 10~19の〇:中くらいに位置する。丁度両利きの人のように、あなたは内向型でも外向型でもある。広い視野を持てるが、ときには物事の両面を見てしまい、立ち往生する場面もある。エネルギーとバランスを維持するため、自分の気質を評価できるようになることが大切だ(本書第2章が参考になる)。
- 0~9の〇:外向型寄り。他者の価値観や現実に照らして、判断を下す。また、現実の枠のなかで働いて、変化をもたらす。孤独が必要になったとき何をするのが自分にとって最良なのか、思い出すすべを身につけるといいだろう。そのためには、あなたは内向型のスキルを持った学び、外向型のスキルとバランスをとらなければならない。
上記は本書のp35-36の内容を一部抜粋したものとなっています。
また、ユングの「タイプ論」を元に作成された16の性格タイプに分類するマイヤーズブリッグスタイプインジケーター(MBTI)性格検査)も、自身の気質を知るための参考となります。
内向型と外向型を決めるもの
気質×環境
人の性格は非常に複雑な要素が絡み合い、性格を決める要因に関する研究は完了していません。高反応か低反応かという違いも「内向型」と「外向型」という特性を決める上での要素の一つにすぎません。人の性格は先天的な気質だけでなく、生まれ育つ環境による後天的な影響も受けます。
気質という生まれながれの、後天的に変えられない部分もあるのが肝となります。
ある程度の訓練やおかれた環境等で気質を超えた行動や習慣を身につけることもできますが限界があります。
自身の気質を無視した過度な挑戦は無理が大きく精神や体調不良の原因となりかねません。自分の気質を理解してありのままの自分で生きることを本書が推奨する理由となります。
根源的な本能を司る扁桃体
この内の気質において、以前取り扱ったスーザン・ケイン氏の「Quiet-内向型人間の時代」においては扁桃体の反応に着目して内向型と外向型の反応の違いを説明します。
食欲や性欲や恐怖という根源的な本能を司る扁桃体という器官が脳にあります。扁桃体の役割をスーザン氏は下記の通り説明します。
扁桃体は脳内の感情スイッチの役割を担っており、外界からの刺激を受けるとそれを脳の他の部分へ伝え、神経系に指令を出す。その機能のひとつは、外界の新しいものや脅威になるものの存在(中略)を即座に感知して、瞬時に闘争-逃走反応の引き金を引くことだ。
Quiet-内向型人間の時代 4章 性格は運命づけられているのか? p130
内向型の人は扁桃体の反応が過敏で、少しの刺激でも強い反応が脳内に発生します。そのため、緊張状態に入りやすくストレスを受けやすい傾向があります。
そのため外向型傾向の人が刺激の多い環境で心地よく過ごせるのに対し、内向型傾向の人は強い疲労を負ってしまいます。
自律神経系における二つのシステム
さらに、本書では気分や健康状態を自動的に調節している自律神経系である二種類のシステム、行動を起こそうとする交感神経系(筆者曰くフルスロットル・システム)と、体をリラックスさせようとする副交感神経系(筆者曰くスロットダウンシステム)に着目します。
人はこの二つのシステムの間のどこかに心地よく過ごせる拠点を持ち、この拠点の場所が私たちの気質を決め、自身の拠点を知ることがエネルギーレベルを上手に調節して目標達成を後押しするためカギとなると筆者は主張します。
日常では両方のシステムを使い分けながら過ごしていますが、拠点の位置によりどちらのシステムが優位であるかが決まっており、ストレスを受けた緊急時にはその傾向がより顕著になると筆者は主張します。
交通事故に巻き込まれた時の筆者夫婦の対応が例示されており、内向型である筆者は体が膠着し状況分析に徹したのに対し、外向型である旦那さんは要救助者がいないかの確認のため車を飛び出しました。筆者はこの両方の対応が状況解決に必要であったと振り返りながら両タイプの行動の違いを説明しています。
脳の影響による行動パターンの違い
これまで見てきたように内向型と外向型の人では脳の仕組みに傾向の差があり、その結果行動パターンも変化します。どのような影響が出るか、本書p85-88で紹介された内容をピックアップします。
内向型の人間の行動パターン
内向型人間はスロットルダウン・システムが優勢で内的活動や思考が盛んな傾向があります。
また主に使われる神経伝達経路(アセチルコリン経路)は、外向型で優位な経路(ドーパミン)と比較して物理的に長い経路を使用します。そのため、反応に必要な時間や思考プロセスの傾向にも差が見られます。
具体的に下記のような影響が想定されます。
- 脳が忙しく働いているため
- 話しているときは考えることに集中するので目を合わせない。一方で話を聞くときは情報に集中するので目を合わせる
- その知識の豊かさで周囲を驚かせることがある
- 注目を浴びるとしり込みする
- ストレス下や集団の中で、または疲れが出たときに、どんより、ぼんやり、げんなりした様子を見せることがある
- 副交感神経に関連する長いアセチルコリン経路による支配のため
- 考え事の途中から話だし、周囲をとまどわせることがある
- 記憶力はいいが、その記憶を取り出すのに時間がかかる
- 眠った後は、アイディア、考え、感情がよりはっきりする
- 書いたり、しゃべったりしないと、自分の考えがはっきりわからないことがある
- 副交感神経系が優位なため
- なかなかやる気が起きない、動き出さない。怠惰に見えることがある。
- ストレス下での反応が遅い。
- 態度が穏やか、または、控えめである。
- タンパク質の摂取と体温を調整する必要がある。
- エネルギーを回復するために休憩をとらなければならない。
外向型の人間の行動パターン
一方で外向型の人間はフルスロットル・システムが優位であり、刺激を収集し外界をスキャンしています。こちらは下記のような影響が想定されます。
- 脳が絶えず刺激を求めているため
- 外に刺激を求める。長くひとりでいることを嫌う。
- 話しているときは、相手の反応を取りこむためによく目を合わせる。話を聞くときは周囲で起きている情報を収集するため、あまり目を合わせない。
- 話すのが好きである。また話術に長けている。注目や脚光を浴びると元気が出る。
- 交感神経に関連する短いドーパミン経路による支配のため
- 後先考えずにしゃべる。聞くよりもよく話す。
- 短期記憶に優れ、すばやく考えられる。
- 時間制限のあるテストや緊張下でのテストに強い。
- 議論、新奇なもの、様々な経験によって活気づく
- 交感神経系が優位なため
- ストレス下で素早く行動する
- 体を動かしたり、運動するのが好きである。
- エネルギー・レベルが高く、頻繁に食べる必要がない。
- することがないと落ち着かない。
- 人生半ばで衰えたり、燃え尽きたりする恐れがある。
ありのままの自分でいるために-自分の気質の理解とペースの設定
陸に打ち上げられた:世界は外向型向けにできている?
本書の第Ⅰ部のタイトルで「陸に打ちあげられた魚」と評される通り、内向型寄りの人は日常に生きづらさを感じているかもしれません。
その理由は、世界・社会とそのシステムは基本的に外向型寄りの人が活躍・評価されやすいように出来ているためです。
理想の人物像を描いてみてください。社交的で活発的な外向型の人物像を描く方が多いのではないでしょうか?
また、外向型の特徴は表に出て目に見えるので評価もしやすいという特徴があります。
このような特徴・傾向は、外向型の人へ活躍の機会を与えるため、社会はより外向型が評価され生きやすいように変化します。
特に外向型の割合が75%ともいわれるアメリカではこの傾向が強いようです。一方で日本では内向型が1/3程度といわれており、アメリカより多いですが多数派ではありません。
内向型は誤解されやすい?
一方で内向型は消極的で無口で社交性に欠けるように見え、内向型の持つ力が評価されないどころか問題児のレッテルを貼られてしまうことがあります。
筆者は本書p50-52で、内向型が誤解されやすいまたは外向型の人に不安を与える理由を下記の通り述べます。
- 考えがまとまるまでは話さない:外向型の人は考えながら同時に話すのに対し、内向型の人は考える時間を要し、自信がない限り自発的には発言しない。この特徴は外向型の人には、議論に消極的であったり、自信が無さそうに見えたり、更には何かをわざと隠しているように見える可能性もある。
- アピールが下手:消極的で自信が無いように見える発言姿勢は、耳を傾けるに値しない意見という印象を周囲に与えることがある。また、思考の深さにより周囲が付いてこれておらず、意見が評価されない場合もある。別の人が後程に同じ発言をすると評価されることがあり、そのような場面で内向型の人は居心地の悪さを感じる。
- 慎重さが外向型のヤル気を削ぐ:外向型がプロジェクトの成果を夢見てぐいぐい進もうと燃えている一方で、内向型はペースダウンや計画立案、じっくりした検討を薦める。外向型の人はこのような時、ヤル気に水を差されたように感じるかもしれない。両者の姿勢は共に必要であるが、気質の理解が不足していると反発を生む可能性がある。
内向型の人も外向型の人も、それぞれの立場でこのようなケースに出会った経験があるんじゃないかなと思います。
社会で評価されにくく、周囲から考えてない・積極性がない・ヤル気がないと見られがちな内向型傾向の人は、その成長の過程で自信を失い、自分はダメなんだと自身でも誤ったレッテルを貼りがちです。
もしくは、外向型の世界で無理をして頑張りすぎて疲弊してしまうこともあるかもしれません。
しかし、筆者が主張するように、内向型の人には内向型だからこそ持つ強みがあり、自身の気質を理解してその長所の活かし方やエネルギーの管理方法を学ぶことで、自身の気質とけんかすることなくありのままで自身の能力を最大限に発揮し、自信を取り戻すことが可能となります。
内向型の性格は治す必要があるダメなものでは決してなく、大事なのは自分に合ったアプローチ方法を学ぶこととなります。
自分自身の内向性が(あるいは、身近なだれかの内向性が)理解できれば、どんなにほっとするかもしれない。(中略)本書は、あなたが自分への充電法を学ぶ一助となるだろう。あなたは計画を立てて、日々の暮らしに取り組むことができる-外向型の人とはちがうかもしれないが、内向型に合ったやりかたで、だ。内向型ならではの強みを讃えよう。
内向型を強みにする はじめに p18
ここまで脳や神経系の違いに着目して内向型と外向型の違いを整理してきました。次回から実践的なコツを中心に整理していきます。
次回のテーマは「自分らしく充実して生きる」です。
それではまた次の記事で!