人望がある人のコミュニケーションとは?キーワードは自尊心

どうもです!暑い日が続く一方で天気は安定しない毎日ですね。皆様は体調大丈夫でしょうか?

お盆休みの方もそうでない方もリフレッシュの時間をしっかり取って夏を乗り越えていきましょう!

さて、今回のテーマはコミュニケーションです。特に周囲の人を動かしたり味方となる人を増やしたり元からある交流をさらに深めたり人望を集める人の考え方を学べればと思います。

取り扱う本はズバリ「人望が集まる人の考え方」(レス・ギブリン氏、訳:弓場 隆氏、ディスカバー・トゥエンティワン)です。

内向型寄りで人見知りが中々治らない私でしたが、30代半ばに近づき人生の充実の上でプライベートと仕事の両方で人間関係を形成するスキルの重要性を認めざるを得なくなってきました。

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一人で無理やり進めるより、準備に時間が掛かっても味方や理解者を作って協力者を集める方が物事の進み方は断然早いと実感することが増えてきました。

協力を仰いだり、敵ではなく見方を増やすのはあまり自信の無いスキルでしたが、今後の活躍を広げるためには欠かせず、また苦手な分伸びしろが大きいと思いテーマに選びました。

人間関係の築き方協力者の増やし方でお悩みの方活動の成果や人生の幸福度向上を目指す方にも参考になれば幸いです。

それでは早速本題へ入りましょう!

本書について

筆者

筆者はアメリカの心理学者のレス・ギブリンであり、人間関係のエキスパートとして知られています。全著作の累計発行部数は500万部を超えており、今回紹介する本の原著は半世紀に渡り普及の名作としてベストセラーとなっています。

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長期間ベストセラーということはそれだけ変わりにくい本質を捉えていると考えられる、ずっと使えるスキルの習得を期待できる一冊となります。

そのほかの著作としては、「チャンスがやってくる15の習慣」(ダイヤモンド社)があります。

本書で学べる人望が集まる人の考え方とは

成功と幸福のカギは人間関係

人が普遍的に求めるものとして成功幸福があります。それぞれ人により形は違えど、この二つのいずれかが不要という人には中々出会えないと思います。

そして我々が求める成功と幸福を実現する上でとても重要な要素となるのが人間関係であると筆者は主張します。

すなわち、成功と幸福をもたらわす最大の要素は、人間関係の技術である。人間関係の技術をしっかりマスターしていれば、成功への道のりの約85%と幸福への道のりの約99%の地点に到達することが出来る。これは多くの科学的研究で証明されている。

レス・ギブリン「人望が集まる人の考え方」p10

学業や仕事で成功を成し遂げる上で最も重要なのは、直接的・専門的な仕事のスキルではなく、むしろ人間関係に関する能力であることを多くの研究が報告しています。

本書では下記のような調査結果が紹介されています。

  • カーネギー工科大学が1万人の工場労働者に対して実施した調査では、仕事のスキルによる成功は全体の15%ほどに留まり、85%は性格的な要因、特に他人とうまく関わる能力によりもたらされるものであると結論づけられた
  • 心理学者アルバート・ウィガム博士の1年間で失業した4000人の労働者に対する調査によると、仕事ができないから失業したのは全体の1割にすぎず、残りの9割は他人とうまくかかわることができないから失業したことがわかった。
  • バーデュー大学を卒業した技術者に関する5年以上にわたる詳細な記録では、人間関係の技術に長けた人は、優秀な学業成績を収めた人より収入が約15%上回ったり、人間関係の技術がつたない人より約33%も多くの収入を得ていた。
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成功以前に仕事を続けるという観点でも人間関係が重要である点や、専門的なスキルの重要度が高そうな技術職でも人間関係の技術が重要となる点が印象的ですね。

また、人間関係と人生の幸福や健康に関する調査としてはハーバード大学の「Study of Adult Development」が有名です。

こちらは75年間にも渡る追跡研究であり、人間関係が人生の幸福と健康に最も重要な要素であることが報告されています。

以上のように成功と幸福という両方の観点から、人間関係、そして人間関係を築くためのスキルが重要であるということがわかりました。

人間の習性を理解して活用する

それでは、良い人間関係を築くためのカギはなんなのでしょうか?

筆者は人間の習性を学ぶことよい人間関係を築く上で重要だと主張します。

私たちを悩ませる問題の原因は人間の習性にあるのではなく、私たちが他人の求めているものをないがしろにしがちなことだ。人間の習性はやっかいなものではなく、むしろ理にかなったものである。(中略)大勢の人が人間関係で苦労しているのは、人間の習性をよく理解していないからだ。

レス・ギブリン「人望が集まる人の考え方」p7

小手先のテクニックは応用が利かず相手にもすぐばれるので効果も薄いと筆者は指摘します。

どのような振る舞いが人望を集めるか、自然とその振る舞いをするにはどのような点に注意をすればよいかは、人間の習性を理解することではじめて体系的に学べます。

人間の習性とは長い歴史の中で進化してきたものなので、この習性に基づくテクニックであれば長期的に様々な場面で応用可能でしょう。

本書はそのような良い人間関係を築く上で汎用的に役立つテクニックを学べる一冊となります。

人間関係に関するスキルを学べるベストセラーといえば、カーネギーの「人を動かす」も有名ですが、あちらは実際の経験・実話を中心にした帰納法的な切り口での紹介。その一方で本書は「人を動かす」で紹介されたスキルも含め、理論的に紹介する演繹法的な切り口での紹介となるという違いがあります。

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理論は研究や調査を元に組み立てられており、実例も交えて紹介されているので、机上の空論でないという点もご安心ください。

人間関係の4つのルール

まず筆者は第二章でどんな相手とのコミュニケーションでも留意すべき人間関係の4つのルールを紹介します。

  1. すべての人は程度の差こそあれ自分本位である
  2. すべての人は自分に最も強い関心を抱いている
  3. すべての人は自分が重要だと感じたがっている
  4. すべての人は他人に認められたいと思っている
        レス・ギブリン「人望が集まる人の考え方」p33-34  

利己的さを感じない優しいあの人も、親しさゆえに対応が雑になってしまっているあの人も、これらのルールが適応されており、あなたとのコミュニケーションの中で静かに不満を積もらせているかもしれません。

日常のコミュニケーションで見直すべき点が無いか振り返りのポイントになるでしょう。

そしてこれらのルールの大本となるのが自尊心となります。筆者は下記のように主張します。

すべての人は自分の自尊心を満たしてほしいと強く思っている。その願望がある程度満たされて初めて、人々は自分のことを「忘れ」、他人に意識を向けることができる。また、自分が好きになって初めて、人々は他人に対して友好的になることができる。

レス・ギブリン「人望が集まる人の考え方」p34

人間関係の基本原理

上記の4つのルールを踏まえ人間関係の基本原理として、人間は自身の自尊心を非常に大切にしているため、自尊心を傷つけることはご法度であると筆者は主張します。

人びとは自尊心を傷つけられると感情的になりやすいが、自尊心を大切にしてもらうと理性的に振る舞う。

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p34

人間関係における肝に銘じておくべき最重要ポイント「人々はたいてい自分の自尊心を満たすために行動する」という点です。そのため、人間関係を円滑に構築するために有効なのは、正論を振りかざすことではなく、相手の自尊心を満たす方法を実行することであると筆者は主張します。

自尊心を傷つけられた人はその防衛のために感情的かつ攻撃的になってしまいます。そうなるとどんなに論理で武装しても通用しなくなってしまいます。

仕事や活動をしていると、根回しという文化が面倒くさく感じたり、議論の相手を言い負かしたくなる衝動に駆られることもあるでしょう。

しかし、その際に感情に任せ行動してしまうと痛いしっぺ返しを生むでしょう。少なくとも相手と人間関係を築いて協力を得ることは期待できなくなります。

成功には人間関係の構築が重要なスキルというのは前述の通りです。ちょっと面倒くさい段取りや感情的な衝動も、基本原理を理解していれば必要性も納得できるので自分を律して処理しやすくなります。

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相手のメンツを潰さないというのは、佐久間宣行氏の「ずるい仕事術」でも効率よく仕事を進める上での重要なポイントと紹介されていたことを思い出しました!

本書を読む上での注意点

この本の欠点をあげるとするならば、論文の出展の詳細が紹介されていない点です。

だいぶ昔の本なのでしょうがないですが、科学的な研究や心理学者等の意見も踏まえた内容というのが本書の強みでもあるので、元となるオリジナルな根拠が明記されていないのは内容の吟味の上で不便だなと感じました。

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原著は半世紀前なので、根拠となる研究結果に更新が無いかの注意も必要でしょう。

本書の構成

パートと章

本書は下記の通り14章による5つのパートから構成されます。

  • はじめに
  • Part1:人間の習性をうまく活用する
    第1章:成功と幸福を手に入れる方法
    第2章:人を動かす基本的な秘訣
    第3章:自分の「隠れ資産」を有効に使う方法
    第4章:他人の行動と態度をコントロールする方法
    第5章:相手によい第一印象を与える方法
  • Part2:友情をはぐくんで相手を味方につける
    第6章:人々をひきつける3つの条件
    第7章:相手と直ぐに打ち解ける方法
  • Part3:効果的な話し方で成功する
    第8章:言葉で表現する能力を磨く方法
    第9章:聞き上手になる方法
    第10章:たちまち相手の賛同を得る方法
  • Part4:人々にうまく働きかける
    第11章:相手の全面協力を得て成果を上げる方法
    第12章:人間関係で奇跡を起こす方法
    第13章:相手を怒らせずに注意を与える方法
  • Part5:人間関係のワークブック
    第14章:成功と幸福をもたらす効果的な行動計画
    エクササイズ
  • おわりに

良い人間関係を築くためのポイントや方法がいずれも重要で達成したい目的・場面に分けて整理して紹介されます。

第14章は職場、家族、そのほかの3場面に分けて、最も問題となっている点とそれに対して計画している具体的な方法、そしてその結果を整理するためのワークブックとなっており、実際に人間関係を改善するための助けとなります。

自己分析チェックリスト

最後のエクササイズは人生の成功や成長を妨げている悪い習慣が無いか30項目より構成されるチェックリストが紹介され、筆者は頻繁の活用を推奨します。

  1. 自分が求めるものを与えてもらう前に、相手が求めているものを与えているか?
  2. 相手が完璧でなくても受け入れているか?
  3. 自分が求めるものを得るのと引き換えに、相手が求めるものを与えているか?
  4. 相手をこき下ろして自分の自尊心を満たそうとしないように気をつけているか?
  5. 相手に純粋な関心を寄せているか?
  6. 相手に注目しているか?
  7. 相手を対等の人間として扱っているか?
  8. 相手に自信と希望を与えているか?
  9. 相手の個性を尊重しているか?
  10. 相手を大切な存在として扱っているか?
  11. 相手が友好的であることを想定し、自分から歩み寄っているか?
  12. ふだんから身だしなみに気をつけているか?
  13. 相手に好意を持ってもらえるように接しているか?
  14. 気さくでとっつきやすいか?
  15. 相手の話に耳を傾けているか?
  16. 自分の考えを相手にうまく伝えているか?
  17. 相手に協力してもらえるように気を付けているか?
  18. 相手に協力を求めるとき、参加を呼び掛かけているか?
  19. 周囲の人の知恵と体力を活用し、彼らの才能を最大限に生かしているか?
  20. ほめ言葉が持つ奇跡的な力を理解しているか?
  21. 相手の功績をつねに認めているか?
  22. 感謝の気持ちをきちんと相手に伝えているか?
  23. 相手を怒らせずに注意を与えているか?
  24. 相手のやりとりで誠意を尽くしているか?
  25. 他人に忍耐強く接しているか?
  26. 誰かに何かをしてもらうとき、それをしたいと思う動機を相手に与えているか?
  27. 不満をため込まないように気をつけているか?
  28. かんしゃくを起こして周囲に迷惑をかけないように自分を律しているか?
  29. うぬぼれて自慢話をしないように自分を戒めているか?
  30. 尊大な態度をとらずに、つねに謙虚さを心がけているか?

    レス・ギブリン「人望が集まる人の考え方」p232-238

人間関係を上手く築くためのコツ思わずやってしまいがちな避けるべき悪い癖を網羅している本チェックリストを活用することで、日常生活で改善すべきポイントを特定できます。

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皆さんの結果はいかがだったでしょうか?私は改善を目指して試行錯誤しているのが18・23・2

6・28・30、取り組み自体も不足していると感じたのが5・6・12・16・24・29でした。

主に印象に残った点

ここからは本書の内容で印象に残った点について触れていきたいと思います。どれも重要だなと感じたポイントだったので、絞るの難しかったのですが、仕事の中で課題としている「相手に重要感を与える」コツと人生としての課題である「人と打ち解ける」コツをピックアップしました。

人を動かす基本的な秘訣:相手に重要感を与える

重要感という共通の願望

繰り返しになりますが、仕事での成功や活動の成果を上げるには周囲の人の協力が欠かせません。協力を仰ぐには何が人の動機となるかを理解することが必要となります。

その動機の源として、筆者は下記のような共通の願望が全ての人にあると主張します。

べての人は自分が重要な存在だと感じたがっているだけでなく、自分の重要性を他人に認めてもらいたいと思っているのだ。私たちが求めているのは、自分の重要感を他人に認めてもうらことである。言い換えると、すべての人は自分の価値を確認するのを他人に手伝ってほしいのだ。

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p49

この願望はマスローの欲求階層説においても承認欲求が含まれる点と一致しています。

マスローの欲求階層説

思い返せばこの人のために協力しようと本気で思えるのは、嬉しい評価や指名や機会をもらえたり、欲しいタイミングで声掛けをしてくれるような人たちだったように感じます。

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皆さんが自然と協力したいと感じるのはどのような人でしょうか?

人間関係における承認の重要性

実際に心理学者のJ・C・スタール博士による企業に勤める人々への研究で、重要度の高い不満の原因は下記であると報告されています。

  1. 功績を認めてくれない
  2. 苦情を処理してくれない
  3. 励ましてくれない
  4. 人前で叱る
  5. 意見を求めてくれない
  6. 進捗状況を伝えてくれない
  7. えこひいきをする

確かにこれらは自分は重要とされているのか不安にする扱いですね。この不安モチベーションにも大きく影響し、チームの生産性にも悪影響を与えるでしょう。

関連しそうな理論として、組織の成功法則としてダニエル・キム教授が提唱する成功循環の【Goodサイクル】があります。

これは成果を元にいい関係が形成されるのではなく、良い関係を形成することが良い成果を生みだすという理論です。

上記重要な不満の原因は、①関係の質、②思考の質で推奨されるステップとの関連性(互いに尊重、結果を認める、一緒に考える、共有される)も確認できます。

部下やメンバーが中々期待通りに成果を出してくれないとお悩みの方はこの重要感を与えるというステップの不足がその原因かもしれません。

相手に重要感を与える3つのルール

重要感を与えることの必要性も整理したところで、具体的にどのようにアプローチすればいいか、筆者の意見を整理してみましょう。

  1. 相手を重要な存在とみなす
  2. 相手に注目する
  3. 相手に対して威張らない
相手を重要な存在とみなす

まずは前提条件的なステップとして相手を重要な存在とみなすことの重要性を筆者は下記のように主張します。

相手を重要な存在とみなすことだ。それを実行すれば、あなたの思いはおのずと相手に伝わる。さらに、それによって小細工の必要性がなくなり、誠実な気持ちで相手と接することが出来る。形式的なルールをいくら実行しても意味がない。心の中で相手をつまらない存在とみなしているかぎり、相手に重要性を持たせることはできない。
よく考えてほしい。人より重要なものがあるだろうか。

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p53

このステップは小細工な表面的な対応ではなく、人との接し方のスタンスや認識の振り返りを促すものと読み取れます。

相手を自分の目的を果たすための駒や手段と考えるのはご法度であり、独自の考えや価値を持つ存在として大切に扱う姿勢が重要になります。

人との接し方という普段の行動のみでなく、その背景にある自身の認識傲慢さや利己心などの問題点や改善点が無いか振り返る重要性を学びました。

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この観点は接することが多い身近な人に対してこそ見落としがちな点と感じました。

認識の修正は行動と比較してコントロールが難しいので時間が掛かるものですが、一度身につけてしまえばあとは自然と長期的に恩恵をもたらすため、時間を掛ける価値は十分にあると感じました。

また上記で紹介した自己分析チェックシート自身の認識を修正すべき点を定期的に見直すために非常に有用なツールとしてサポートしてくれるでしょう。

相手に注目する

次のルールは相手に注目することです。これは行動も伴う分かりやすいルールなので行動に取り入れやすいコツと感じます。

人の注目は重要なものに無意識に集中するため、周囲のほとんどのものを見過ごしていると筆者は指摘します。

この注目を意識的に周囲の人に向け関心を向けていることを相手に伝えることで重要感を持たせることが出来ると筆者は主張します。

また全ての人にスポットライトを当てることの重要性も筆者は指摘します。これがないと前述のえこひいきされているという心象を与える要因となってしまいます。

全ての人にスポットを当てるのは一見不可能に近い印象も受けますが、一人ひとりの重要感を満たすには少しずつ注目するだけで充分であることを筆者は補足します。

実際尊敬する上長、メンバー、人から少し声を掛けてもらうだけでも嬉しいと感じる瞬間はありますし、存在を認めるだけでも効果があると筆者は主張します。

日常からの軽い声掛け時間に余裕があれば現状を聞いたり意見を求めたりする時間を設ける。それぞれの時間はほんのわずかですがこの積み重ねによりメンバーとの関係性は飛躍的に上がるでしょう。

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勿論人数が非常に多いときはリーダー同士の分担も必要になるでしょう。

相手に対して威張らない

次のルールは「人間の習性の基本的な事実」すべての人は自分の重要感を満たす必要があり、そのために自分の重要性を他人に認めてほしいと感じていることにより強く関係します。

この習性はうまく使えば成果に繋げられる一方で、下手に使うと損害を被る恐れがあることを筆者は指摘します。この習性は相手のみでなく自分の中にも宿っており、自身の振る舞いにも影響を与える点に注意が必要となります。

それが第三のステップ「相手に対して威張らない」となります。

他人とかかわるとき、自分の重要性を相手に印象づけたという誘惑に駆られやすい。意識しているかどうかに関係なく、私たちは相手によい印象を与えたいと思っている。(中略)私たちは自分の重要性を相手に印象づけたいあまり、相手を軽んじて自分をよく見せるための言動をする傾向がある。

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p59

いわゆるマウント取りというのもここに入りますね。この振る舞いは相手を軽んじるという点も含め、相手に重要感を与える上で大問題となります。それまで積み上げてきた努力が水の泡となりかねません。

筆者はこの問題を解決する方法を下記のように紹介します。

相手に好印象を与えたいなら、自分のすごさをひけらかす必要はない。
相手に感銘を与える最も効果的な方法は、自分が相手に感銘を受けたことを伝えることだ。

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p60

習性を理解することで、自分の行動や振る舞いの背景にどのような意図があるかを精査して衝動的な過ちを防ぎやすくなります。

本当に相手を思うなら、相手への弊害等の問題がない範囲であれば、相手の間違いを指摘することすら得策でないこともあることを補足します。

思わず他者の間違いは指摘したくなってしまいますが、その指摘が本当に相手のためになるか、恥をかかせるだけではないかを事前に考える必要があります。

協力してくれる仲間を増やすには:人を惹きつけ打ち解けるコツ

仲間を増やすというのは、チームを作ったり活動の幅を広げる上でも、人間関係を豊かにする上でも大事なステップとなります。

しかし人見知りが強く、極度の内向型である私として、交流関係を広げたり仲間を増やすのは中々苦戦してきた課題です。特に人と打ち解けるのに時間が掛かるのが悩みでした。

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今では一年に複数回泊りに行く気の合う友人と、知り合ってから仲良くなるまで7年ほど掛かりました;

初対面の人相手では不確定要素が多いので不安を感じる人は多く、コミュニケーションをためらいがちな方も珍しくないでしょう。

一方で人を惹きつけ誰とでもすぐに打ち解けられる人もいます。もちろんその人のようになれるとは思いませんが、その人たちが自然と、もしくは工夫して実践しているコツを学べれれば現状の改善に役立つはずです。

筆者は第6, 7章で人を惹きつけるコツ直ぐ打ち解けるコツを紹介しており非常に参考になりました。

人を惹きつけるコツ

まず人を惹きつけるコツとして3つのコツを紹介します。

第1の条件:相手を受け入れる

人はありのままの自分でいる時に強い安心感を得られます。そのためありのままの自分を受け入れてもらえる相手に惹かれます。

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皆さんの中にもありのままの自分でいられないコミュニティで疲労感を積もらせた経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか?

他人がどう振る舞うか厳格な基準を設けるべきではなく、自分らしく振る舞う権利を相手に与える重要性を筆者は主張します。

また、相手を受け入れられる人こそが、相手の行動を改善する影響力を持つという興味深い効果があることも紹介します。

受け容れられることで相手から自信と安心感を得られるため、相手の発言に耳を傾け聞き入れる余裕ができるのです。

逆にあら捜しや改善点を探してばかりしている人は、相手の防衛本能を呼び起こしてしまうため抵抗を生むばかりで相手を変えることはできません。

しかし相手を完全に受け入れるというのは難しいのではという疑問も生まれます。そんな疑問に筆者はルース・バービー博士の下記主張を引用して補足します。

「相手を受け入れるといっても、妥協するということではありません。要は相手を価値のある人間として認めるということです。つまり、相手が何をするとかしないとかではなく、相手の人間性を肯定することが大切なのです

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p109
第2の条件 相手を認める

マスローの欲求階層説承認欲求がある通り、人は自分を認めてほしいと強く思っています。

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この認められたい気持ちは組織への貢献や力の発揮という形で人類の発展を支える力となっているのではと予想します。

そのため、人は自分のことを認めてくれる人にも強く惹かれます。

相手を受け入れる相手を認めるの違いを筆者は下記の通り説明します。

相手を認めることは、相手を受け入れることよりさらに進んだものだ。相手を受け入れることはややネガティブである。「欠点があるけれども受け入れる」という意味だからだ。一方、相手を認めることはポジティブである。それは相手の欠点を辛抱することを超えて積極的に長所を見つけることだからだ。

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p112

ポジティブに相手を捉えることで相手の長所を引き出すことが出来、相手はさらに認めてもらおうと他の資質を伸ばそうという動機付けに繋がるという喜ばしい副次的な効果も筆者は紹介します。

具体的な行動としては相手に着目し、長所を見つけ、それを効果的なタイミング・方法でほめ言葉として相手に伝えるステップに分類できるでしょう。

着目とほめ言葉は他の章で紹介されているので、相手の長所に着目するというステップについて補足するのであれば、下記記事で紹介した「ストレングスファインダー」の活用をおススメします。

こちらは自分の長所、それもスキルではなく行動特性に基づく強みの発見を助ける一冊です。行動特性に伴う強みは本人にとっては何気なくこなしているため自分で気づきにくいポイントです。

そのポイントについてほめ言葉をもらうのは、認めてもらえた嬉しさに加え新たな自分の発見にも繋がります。「ストレングスファインダー」によりどのような特性があるかを整理しておくことは、他者の強みを見つけるためのアンテナ強化に繋がるでしょう。

自分の才能を発見しよう!:読書日記
第3の条件 相手を尊重する

そして最後のステップが相手の価値を高く評価す「尊重」となります。

人が原則に従い自尊心を満たしたり、重要感を得ようとしたりする上で、高く評価してくれる人は貴重な存在となり、人を惹きつけます。

社員を尊重することで会社を成功させたピアース・ブルックス博士の発言を筆者は引用します。

(前略)相手の価値を高く評価すると、相手はさらに価値のある存在になり、ますます大きな成果を上げてくれます

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p115

これはまさに、上述した組織の成功法則における【Good サイクル】ですね。

尊重を相手に伝えることで関係の質を上げることが出来、その結果が巡り巡って成果の質へと繋がります。

尊重を相手に伝える方法として仕事でいえば、直接的な評価ほめ言葉に加え、助言を求めたり裁量を与えたり、挑戦の機会を与えたりがあるでしょうか。

筆者は下記のような方法を紹介しています。

  1. できるかぎり相手を待たせない
  2. すぐに面会できない場合、来訪を確認していることを知らせ、なるべく早く面会する
  3. 相手に感謝する
  4. 相手を特別扱いする
    -1対1で話しかける 例:一律のメールよりは、個々に応じて内容を変えたメールの方が反応が良い。宛先だけでも効果的

相手と直ぐに打ち解けるには

そして次に相手と直ぐに打ち解けるコツについてです。このコツは心の持ちよう微笑という二つに大きく分類することができます。

自分のことを相手が好いてくれると信じる

人と打ち解ける上で最大の障壁は恐怖心であると筆者は説明します。冷たくされたら、怖い人ならどうしようという不安から、最初は感情を控えめに話しかけ相手の反応を見てからテンションを調整しようと考えがちです。

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相手がどんな人かどんな反応をするかドキドキです;

恐怖心があると顔や声色はひきつり、相手との間に壁を作ってしまいます。そのような話かけでは相手も壁を作り友好的な反応は帰ってこないでしょう。

私たちの恐怖心が相手の恐怖心を増幅され、打ち解ける上での障壁を厚くしてしまうのです。

リスクがあるとしても、自分から友好的な態度を取る重要性を筆者は主張します。

リスクをとって自分から友好的な態度をとろう。それがいつもうまくいくとはかぎらないが、見込みはかなりある。あなたと同様、ほとんどの人が相手に好意を求めている。それは普遍的な欲求である。相手が友好的に見えるとはかぎらないのは、相手があなたに拒絶されるのを恐れているからだ。

レス・ギブリン人望が集まる人の考え方 p127

返答性の法則も含め、相手の反応はこちらの態度により影響されるので、自分の態度と似たような反応が返ってくることが多いです。

恐怖心を乗り越え、相手が好いてくれると信じ積極的に友好的な態度を取るのが人と直ぐ打ち解けるための第一ステップとなります。

心の底からの笑顔を心掛ける

友好的な態度の入り口は笑顔です。笑顔であれば誰でも取り入れられますし、少し練習・意識すればいつでも実践できます。

ここで大事なのは口元だけを意識するのではなく、相手への思いやりから心の底から微笑むことが重要と筆者は指摘します。

そのためのコツとして、自分が微笑んでいる姿を想像すると、自然にリラックスした笑顔になることが紹介されます。

自然な微笑みは親愛の情のサインとなるため、その場を和ませ相手の態度も軟化させます。

人はペルソナがあり、その場に応じた役割を演じることが自然と身についているので、微笑みのある友好的な場では、内容を問わず友好的な態度を取ってもらいやすくなります。

筆者は微笑みには下記のような魔法があることを紹介します。

  1. ほめ言葉をかけて、ほほ笑みを浮かべよう。ほめ言葉の力は何倍にも増幅する
  2. 頼み事をするなら、ほほ笑みを浮かべよう。相手は要望に応じたくなる。
  3. 頼みごとをされたら、ほほ笑みを浮かべよう。相手は感謝して信頼してくれる。
  4. 苦言を呈するなら、ほほ笑みを浮かべよう。相手は厳しい内容を理解してくれる。
  5. 初対面の人に会うなら、ほほ笑みを浮かべよう。相手は親しみを感じてくれる。

私は緊張で顔がこわばる癖があり、その結果場を緊張させてしまう傾向があったので、自然な微笑みを浮かべた友好的な態度で人と接することを心掛けようと学びました。

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少し恥ずかしい気もしますが、自然な笑顔を身につけるため洗顔終わりの鏡相手の微笑みの練習を日課にしようと決めました。

終わりに

以上、「人望が集まる人の考え方」(レス・ギブリン氏、訳:弓場 隆氏、ディスカバー・トゥエンティワン)に関する読書日記でした。

人にとって自尊心は非常に重要であり他者の自尊心を気をつけないように注意すること、人は自身の重要感を他者に認めてもらいたいと思っていることを考慮することで協力や賛同を得やすくなることを学びました。

これらは小手先のテクニックではなく、人間の習性を元にした内容であるため良い人間関係を築く上で一貫して汎用的なコツとなります。

記事内で触れたもの以外にも各場面に応じた有用なコツが紹介されています。紹介出来なったコツの内印象に残ったものを追加でリストアップしてみました!

  • 気になった点ピックアップ
    【第5章 相手によい第一印象を与える方法 p102-103】
  • 人々はあなたの自己評価にもとづいてあなたを受け入れる傾向がある。自分はつまらない人物だと思っているなら、自分を軽んじてほしいと相手に頼んでいるのも同然だ
  • 相手にどういう頼み方をするかが、相手の答え方の「舞台」や「主音」を設定する。だから「イエス」という答えを求めているときに「ノー」という答えが返ってくるような質問をしてはいけない。また、トラブルを想定しているような質問や指示をしてはいけない。それではトラブルを求めているようなものだ。
    【第8章 言葉で表現する能力を磨く方法 p150-151】
  • 成功と幸福は、自分を表現する能力に大きく左右される。自分の話し方を改善する方法を考え、それをつねに実行しよう。
  • 会話上手な人になるためには、いきなり独創的な話をしようとするのでなく、ありきたりなことから話そう。会話を進めるうちにようやく面白い話が始まる。
  • 楽しい話をしよう。陰気な人や不吉な予測をする人を好きになる人はいない。
    【第10章 たちまち相手の賛同を得る方法 p180-181】
  • 相手に意見を述べさせる
  • 答える前に少し間を置く
  • 100%勝とうとしない→「それも一理ある」と言って少し譲歩する
  • 控えめな態度で主張する
  • 第三者に代弁してもらう→説得に客観性を持たせて議論をする
  • 相手の面子をつぶさない→相手に逃げ道を与えて面目を保たせる
    【第11章 相手の全面協力を得て成果を上げる方法 p195】
  • 他人に作業を手伝ってほしいなら、その人にアイデアを求めよう
  • 自分の問題は相手の問題でもあると相手に感じさせよう
  • 誰かに依頼するなら、その人をチームの一員にしよう。単に「いいアドバイスをしてください」と言うのではなく、「もしあなたが私の立場なら、成果を上げるためにどんなふうにしますか?」と尋ねよう。
    【第13章 相手を怒らせずに注意を与える方法 p223】
  • ほめ言葉で前置きをする
  • 相手の行為に注意を与える→相手の人格を攻撃しない
  • 正しい方法を教える
  • 要求ではなく依頼をする
  • 友好的に話を終える→最後に励まして相手を勇気づける

気になった方は本書を是非手に取っていただければ幸いです。

それではまた次の記事で!

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