もう既に2月後半ですが、今年最初に制作した油絵の進捗日記を描いていきます。
これでようやく実際の進捗に追いつけるかなと・・・!
課題や学んだ点を整理して、継続的な成長を続けるための振り返りの場としています。
今回の絵は前回とは別の友人からいただいた宮古島の「うえのドイツ文化村」の写真です。
1873年に台風で座礁したドイツの商船を島民が救助したことがきっかけで石碑が送られ、その博愛の精神を後世に伝え国際交流の促進の場とするため、ドイツ村がオープンする運びとなりました。(詳細)
雲から指す太陽の光と、ドイツの雰囲気を醸し出す中央にそびえる大きなお城が特徴的ですね。手前にあるのはドイツ首相が訪問した際の記念碑です。
また南国風の木や記念碑などこれまで描いたことがないモチーフがあり、色々勉強になりそうです!
機会があればいつか本人にも実物を見てほしいなと思っています。
今回の絵の課題
雲の表現
雲の表現は前回の絵から引き続きの課題です。
特に今回は空の中の雲というよりは雲の中の空という場面なので、新しい表現方法の勉強になりそうです!
下塗りを控えることで、今回のモチーフが持つ雲の白さを保つことを目標としました。
木々の表現
こちらもこれまで苦手としているポイントです。ちょっとのっぺりとした平面的な表現になってしまったり、上手く木の形の表現が出来ていません。
特に葉っぱの細かい表現に苦戦しているので、明度と彩度に気を付けました。
幹や枝の色を最初に塗りすぎてしまうと、葉っぱの色にも影響が出てしまうため、そちらも控えめにしました。
構図の調整
今回も構図を調整してみました。主に下記二点です。
- お城をすこし右側にずらし、太陽とお城という空の役者がそれぞれ際立つように配置
- それぞれのモチーフがはっきりするよう、全体的に色を明るめに調整(逆光を無視)
友人の旅行の写真なので、その時の情景がより明確に思い浮かべられる一枚にできるよう、それぞれの要素が際立つように意識しました。
すべてを際立たせようとすると、逆に絵全体がぼやけてしまうので、城・記念碑・太陽・右の木・その他と優先順位をつけて取り掛かりました。
進捗
2022/1/19:下書き&下塗り
下書きは課題にある通り、構図を検討し主に城の位置を右側に移動しました。
また、手前の記念碑を挟んで左右でモチーフ(特に芝生と段)の上下がずれると後で修正が大変なので、高さの位置について少し強めに線を入れました。
複数の線の様子から構図作りに大変苦戦していることが分かります笑
形が決まったら色の明度を気にして下塗りをしました。
雲の部分は色はモチーフの白さを表現できるように、出来るだけ下塗りしないようにしています。
ただ、ペインティングナイフで削ることで雲間から見える青空を表現出来るかもと考えたので、境界部分は少し青空部分にも浸食して広めに塗っています。
お城の部分は修正の可能性を考えて薄く下塗りしています。どのような構造かという分析をこの段階でもう少ししておけばよかったなというのが反省です。
中央の奥の草木の部分は影の部分は彩度を下げるため、補色の赤色系を混ぜて塗っています。
明度と彩度が低い色から塗って、それから明度と彩度が高い色を重ねるという順序を心掛けました。
2022/1/23:緑を茂らせる
全体的にビリジアンとカドミウムイエローレモンを混ぜて明るめの色を中心に緑を塗っていきました。暗めの緑色で下塗りしていたので、この時点で奥側の立体感が出始めていると思います。
手前の芝と樹木はまだ少し単調なので、もうちょっと色を重ねていく必要がありますね。葉っぱもモチーフの再現が出来ていないので、慎重に葉っぱの形に沿った塗りをするべきでした。
お城はそろそろ形を決めたかったので、1段階厚く塗り進めて周りとのバランスを確認しています。
また記念碑も色を重ねています。今後日が当たっているところの温かさを表現するため、オレンジ系の色を混ぜて下地を作りました。
2022/1/26:課題の雲を塗り始め
大きな課題の雲を塗り始めました。ペインティングナイフで塗ることで、横に広がる雲の形を表現することを目指しました。雲の形は結構いい感じで再現できたと思います。
ただ、御覧の通り必要のないところまで塗ってしまっているので絵具の量やナイフの扱いの練習が必要ですね。
マスキングテープの活用も試してみたいなぁと思っています。
その他アスファルト部分や左奥の岩崖部分も白色ベースで塗っています。ここからモチーフ本来の色へ調整していきます。
岩崖は断層を表現するため、白を原色で油にあまり溶かずに横向きに塗っています。
2022/1/30:明度によるメリハリ付け
雲を塗る際に白で塗りすぎてしまった部分を修正しながら、メリハリ付けをしていきます。
太陽を塗り始めて日の光を強調するため、太陽周辺の雲や日の当たる部分に黄色要素を追加しました。
お城も影の部分と屋根の部分を塗って輪郭を明確化しています。左部分の塗りが上手くいかなかったので、ここは仕上がりまで修正を続けていくことになります。
記念碑とアスファルト、岩崖部分は明度が低い色で輪郭や溝を強調していきます。
樹木の部分は形を修正しながら影の部分の強調を目指しました。道の向こうの芝生や樹木に補色を混ぜて塗っていくことで、立体感が出てきました。
26日と比較すると、大分印象が強くなってきたのではないかと思いますがいかがでしょうか?
2022/2/2:リアルの色に近づけてみる
全体的に明るい絵にしようと色を塗っていましたが、モチーフとの乖離が少し気になってきたので人工物に近い青系の色で塗ってみました。
城と記念碑の台座、道の部分が大分引き締まったと思います。特にお城の部分は雰囲気が大きく変わりました。
リアル感は2/2の方が強いと思いますが、1/30の暖かい雰囲気の方が好きな方もいるかなと思います。メインの色を何系にするかで印象が大きく変わるというのが分かりやすいですね。
皆様はどちらの雰囲気がお好みでしょうか?
手前の木と芝は形を表現するため、筆の動きが残るように塗っています。1/30時点ではのっぺりしていた部分が改善されてきていると思います。
2022/2/7:日の光を部分的に復活しながらお城の調整をして完成!
1/30時点の明るい色の構図の方が気に入っていたので、黄色系を交えて絵に暖かさを追加していきました。一度リアルに近い青色に寄せたことで、1/30時点で塗りにムラがあった部分は無くなったかなと思います。
お城は壁が斜めっている箇所が気になっていましたが、ここでようやく修正出来ました。
ブログで振り返っていて、雲は黄色を重ねる部分が広すぎてメリハリが薄くなってしまったので、太陽から遠い雲に対して青系を混ぜた白色による修正を検討しています。
草木については黄色系を交えた緑色で形の明確さや立体感を増していきます。大分生き生きとした茂りが表現出来てきました。
岩壁は層の表現が弱くなっていたので、白色を中心として塗り直しました。
向きや明暗の部分をしっかり確認しながら塗れたので、複雑な色の変化を違和感なく表現できました。地味に今回の作品のお気に入りポイントです。
気になる点が修正できたので完成とさせていただきました!
今回の課題の振り返り
雲の表現
今回は雲の範囲が広い構図ですね。下塗りを控えめにした分、元のモチーフに似たストレートな白さを表現できているかなと思います。
ペインティングナイフで塗ったことで雲の厚さを表現できましたし、そこから削ることで雲の隙間から見える青空を表現できました。
雲の上部については雲の流れを意識しながらあともう少し細かく削りを入れていくと雲の雰囲気がより忠実に再現できたかなと思います。
さらに太陽の近さに応じて黄色や青色を調整することで、太陽の明るさをより強調できたかなという点が次回以降に活かしたい点です。
木々の表現
こちらは今回結構満足いく出来でした。予定通り枝の塗りを控えめにしたことが勝因です。
また途中から葉っぱの向きに筆の向きが沿うように強く意識したことで、木の形をこれまでより細かく表現できました。次回は最初から向きに沿って描けるように注意したいと思います。
今振り返ってみると、ペインティングナイフで削ることで更に複雑な表現が可能になるのかなと思い、今後の制作で是非試したみたいと思います。
木は風景画を描く上で登場頻度が高いモチーフなので、今後の制作に繋がる大きな学びになったと思います。
この制作日記という機会で振り返ることで、少しづつ先のことを考えながら計画的に描く習慣が身についてきたと実感しています。
構図の調整
構図調整の上での主な課題は下記2点です。
- お城を右方向にずらし、太陽とお城という空の役者がそれぞれ際立つように配置
- それぞれのモチーフがはっきりするよう、全体的に色を明るめに調整(逆光を無視)
1点目は上手く言語化できないですが、お城の位置をずらすことで、太陽、記念碑、お城のラインが横に広がり、それぞれが際立つ構図に出来ました。
2点目は南国の雰囲気を表現できたと思います。提供してくれた友人にとってシーンをより鮮明に思い出せる一枚となっていれば嬉しいのですが、それは後日機会があれば感想を聴いてみたいと思います。
また、元の写真と比べてみると、アレンジを加えながらもそれぞれのモチーフの配置をオリジナルに近くできたかなと思います。
お城と太陽は主役にしようという意識が強すぎてもとより大きくなってしまいましたが、それも油絵の味と解釈するにはまだ実力不足でしょうか笑
次回以降の課題
太陽光の表現
個人的に心の残りはいただいた写真にあった素晴らしい点である、太陽光の明るさを表現しきれなかった点です。
太陽の大きさを元より大きくし過ぎてしまったため、光の明るさがぼやけてしまったかなと反省しています。
絵具で明るさを表現するには絵具の足し算ではなく、周囲の色からの引き算かなと考えているので、塗りすぎないように必要最低限の絵具で表現する必要があると学びました。
次回のテーマでも太陽光の表現が重要になるので、個々は特に気を付けて制作していきたいと思います。
2月の制作物。少し太陽を塗りすぎな気がするので、致命傷になる前に余計な箇所を削って調整する予定です。
人工物における直線の表現
今回特に苦戦したのはお城左側の表現です。屋根の部分が曲がってしまったり、空と色が混じってしまって壁が傾いてしまったり・・・。
筆の扱いの技量不足が原因で、注意をしていても線が曲がってしまう時があります。
ディーゼルで描いているのでどうしても腕が安定しません。また筆へ絵具をつけすぎてしまってはみ出てしまうこともありました。
腕を固定する腕沈を準備したり、マスキングテープを使ったり、直線で描くための具体的な手法を取り入れていきたいと思います。
次回作
以上、1月から2月前半にかけて制作した作品の日記でした。
多くのポイントがあったので描いていて楽しかったですし、振り返ると非常に勉強になる点が多いモチーフで、写真をいただいた友人に強く感謝です。
そして次回作は夕陽と水面の組み合わせという自分が大好きなモチーフです。この構図はこれまでTwitterで反応が良いなと感じているので人気、もしくは自分の向いている方向性なのかもと感じています。
制作日記も含めて1か月に1枚のペースを回復出来てきたので、引き続き創作活動に時間をしっかり割いていくようにタイムマネジメントしていきたいと思います!
それではまた次の記事で!