「内向型を強みにする」自分の可能性を広げて生きる:-読書日記

皆様どうもです!現在内向型をテーマにマーティ・O・レイニー氏「内向型を強みにする」(訳:務台 夏子氏、パンローリング株式会社)の読書日記製作中です。今回が本書の読書日記の最終回です。

内向型と外向型とは何か前々回整理し、前回内向型の人がありのまま生きるにはどうすればいいか自分を回復するにはどうすればいいかという点を整理しました。

今回はただありのまま生きるのみでなく、ありのままの自分でいながら力を最大限発揮するにはどうすればいいかという点を整理していきます。

自分を守りながら力を発揮するには?

内向型の人に秘められた力とは?

社会では社交性や行動力が基本的に高く評価されるため、それらに多くのエネルギーを要して苦戦しがちな内向型傾向の人は自信を持ちづらいと筆者は指摘します。

一方で、筆者は内向型の人が組織に与える力を下記のように紹介します。

内向型人間は、その所属集団に重要な特性をもたらす。深く見つめる能力、変化が関係者にどんな影響をおよぼすかを見抜く力、観察力、枠にとらわれず考える力、歓迎されない決断を下す力、世の中のペースを少しだけ落とす力などだ。

内向型を強みにする 第1章 内向型と外向型はどこがちがう? p38-39

これらの内向型の特徴は一見分かりにくいため、本人でも自覚していないことも多いでしょう。歓迎されない決断やペースを落とす力については、むしろ空気が読めないと厭われることもあるかもしれません。

しかし、これらの能力はリスク管理適切な計画方向性の修正により組織に長期的な恩恵をもたらします。

スーザン・ケイン氏「Quiet-内向型人間の時代」では内向型と外向型の特性は下記のような特徴を持つと紹介されています。

慎重で臆病な動物はエネルギー消費が少なく、リスクや危険を回避しやすいという長所があります。また人間的な活動では、孤独は集中力を生み出すのに必要な環境になりますので、創造性を生み出しやすいという利点があります。

一方で活発で大胆な動物は、エサがより豊富なより良い住処を見つけやすいという長所があります。また人間的な活動では、精力的な活動が可能で説得力にあふれ、チャンスに出会いモノにできる可能性が高いという利点があります。

この両方の特徴を組み合わせることで人類は発展してきました。

内向型の人はこれらの特徴を参考に自身の持つ力を自覚して発揮する機会を見つけることで、自信を取り戻しつつ活躍の場を広げることが期待できます。

時には外向型のふるまいも必要

内向型の人が自身の能力を活かすには、外向型の人のふるまい、つまり社交や積極的な挑戦が必要となります。

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一人で完結する活動では発揮できる機会は限られますし、前述の組織への貢献もできません。

スーザン・ケイン氏「Quiet-内向型人間の時代」でも必要な時に外向型の振る舞いをする重要性が指摘されており、内向型についても研究される心理学者のブライアン・リトル氏の下記動画もそのためのヒントになると思います。

加えて大事なことはすべてのことを一人でこなす必要もないという点です。外向型の人と協力することで両者の強みの両取りすることが期待できます。

筆者が主張するように内向型と外向型の力に優劣はありません。どちらも生存のために必要な能力として進化を続けたものとなります。両向きの人もいますが、ひとりですべてをカバーするには限界があります。

本書ではプライベートや仕事を含め、内向型と外向型の人が相互理解するための具体的な助言が複数紹介されています。これらの内容を利用することで、自分と気質の異なる人と協働自分一人では達成できない目標に近づくことが期待できます。

ペース管理でキャパオーバーを回避

ただ、気を付けたいのは頑張りすぎによるキャパオーバーです。エネルギーの枯渇自信の喪失その後の活動にも大きな悪影響をもたらします。

その上で重要なのがペース配分です。

休息を続けるのでもなく頑張り続けるのでもなく、自分に無理のないペースで確実に進むという調整が、内向型の人が自身の力を発揮して成果を達成する上で重要となります。

自分に無理のないペースを設定することで、最後までやり遂げる可能性を上げ、多くの成果に繋げられると筆者や主張します。

ペース設定の上のコツとして、筆者はステップを細かく分けることを紹介します。

ステップを細かく分けることで内向型の人が苦手とする目標達成のプレッシャーを軽減するとともに、達成感を得る機会を増やすことで安心感と自信を得られます。

また、前回記事で紹介したリズムや自分を回復する方法の把握も、ペース配分を効率よく調整する上で重要となります。

優先順位を決める

プレッシャーや期限に過敏に反応しやすい内向型の人にとって、一度に多くのことに取り組むことはキャパオーバーの原因になるので注意が必要です。

自分にとって本当に必要な活動に集中できるよう優先順位付をすることが重要となります。

本書(p220)では下記の8つのステップが推奨されています。

  1. 次の各分野における自分の目標を書き留める
    健康、余暇、家庭生活、自己の成長、パートナーとの生活、仕事、創造性、人との付き合い、精神面、趣味と遊び、その他
  2. 目標の中からプライオリティ(優先事項)を決定しよう
  3. プライオリティを達成するためのステップを書き留める
  4. 今週クリアできる4つのステップを書き出す。小さなステップにするのを忘れないこと
  5. うまくいかなかったら、何が目標達成の障害となっているのか自問しよう
  6. どうすればその障害を克服できるか自問しよう
  7. プライオリティを再検討しよう。書き留めたすべてを求めているか、それとも修正が必要か。
  8. いくらかでも前進したら、自分にご褒美を与えよう

上記のステップを踏むことで、自分の取り組むべき課題に着実に取り組むための後押し・環境整備が可能となります。

優先順位付については、以前記事で整理したタイムバケットも活用すると、年齢・期限という基準を踏まえた計画を決めやすくなります。

お金ではなく人生を最大化する9つのルールとは?-読書日記

また、9つ目のステップの自分へのご褒美は少しイメージしにくいかもですが、前回記事で紹介した休憩時間自分を甘やかす日の確保も含まれます。

できることとできないことの境界線を引く

次は実際の行動のフェーズでの注意点となります。内向型の人は時間やエネルギーが許す範囲以上の活動ができないことに罪悪感を持ちがちのため、活動できるか範囲を決めておかないと限界を超えて活動しがちとなってしまいます。

また、気質が異なる相手に、自分のペースや優先順位を理解してもらうことは難しく、断りづらいという状況もあるでしょう。

ここで筆者が推奨するのができることとできないことの境界線の設定です。

境界線を設定することで、できないことはできないことと判断しやすくなります。さらにできる範囲で代替案を掲示することで、キャパを超えたお願いをする相手の抵抗を抑えながら断りやすくなります。

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代替案としては「今日は無理だけど明日なら時間がある」、「受付はできないけど、裏の作業なら手伝える」、「夜予定があるので、20時までなら参加できる」とかですね。

境界線を引く上では曖昧過ぎても強固すぎても弊害が生まれので注意が必要です。

まず境界が曖昧過ぎると効果が少ないです。こちらは日々のセルフモニタリングにより、自分の許容を超えたものまで無理に取り組んでいないかを確認することで対処が可能です。

一方で凝り固まった強固な境界線を引いてしまうと、すべての人間関係・活動が辛いものという誤った自己暗示がかかってしまい、交流や活動が減ることで孤独感と無力感が生まれたり、強迫感の高まりにより人生を生きづらいものとしてしまう恐れもあります。

凝り固まった境界線を回避し、自分にぴったりの境界線を引くため、筆者は下記4つのアドバイスを提案します。(p231-236)

  1. 対応の幅を広げ柔軟性を生む
    イエスかノーのみでなく、「たぶん」という選択肢を持つことで考える時間を作れます。この考える時間という余裕が内向型の人にとって、過度なストレスを回避するため大事になります。
  2. 一晩寝かす
    多くの内向型の人はたくさんの情報を取りこみ、それを処理してから、アイディアを得たり決断を下します。ややこしい問題も一晩寝かすことでメリット・デメリット等の情報を整理でき、より良い判断を下せるようになります。
  3. イエスと言ってみる
    これはノーが多い人へ、自分の行動範囲を広げるための提案です。無理は禁物ですがノーの一点張りでは世間との間に大きな溝が生まれます。前2つの提案で考える時間を確保し、本当にノーと言うべきものなのか挑戦してみる価値がないか検討してみることで、より自分にぴったりの境界線を探る機会となります。
  4. ノーと言ってみる
    こちらは中々ノーが言えない人への提案です。自動的にイエスと言ってないか注意が必要で、ノーと言う勇気も自分を守るために必要です。断る際の筆者の助言を下記に一部抜粋します。
    ・礼儀正しく、きっぱりノーと言う。相手への謝意や経緯も表明する。長々と言い訳はしない。
    ・イエスと言わなければならないなら、そこに条件をつけてみる(~ならできる、~時までならできる)
    ・大したことがない用件ならあまり考えず気楽にイエスとノーを判断してみる

これらの試行錯誤を繰り返すことで自分にとって心地よく、かつ活動を着実に促進する境界線を設定できるでしょう。

境界線がうまく設定できれば心労も減るので、作業や活動の中身へ集中を高めることも期待できます。

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私の体験としても、断りたいものを断れなかった時は、ストレスやイライラ、不安によって中々作業に集中できないです;うまく境界線を設定すればこのような効率低下も回避できます!

ありのままの自分で可能性を広げるには?

内向型もある程度の刺激が必要

内向型の人はじっとした一人の時間を好む傾向にあります。過度な刺激がストレスとなり、エネルギーの消耗・疲弊の原因となるためです。

一方で内向型の人に刺激が全く不要かというと、そういうわけではありません。

外向型の人と比較して快適に感じる刺激の範囲が低めというだけで、刺激が極端に少ないと、内向型の人も物足りなさや焦りを感じてしまいます。また、内向型の人同士でも快適となる刺激のレベルが異なるでしょう。

内向型の人にとって刺激=悪という思考は極端過ぎるので注意が必要です。刺激を遠ざけるのではなく、自分に丁度いい刺激のレベルを把握することが重要です。

快適ゾーンに居続けることが幸せに繋がるか?

セルフモニタリング等により自分に丁度いい快適ゾーンを見つけたとき、そこに留まり続ければ幸せというとそうではないことを筆者は主張します。

内向型の人は、心地よさが保たれていれば大丈夫だという幻想を抱いている。しかし、その幻想には限界がある。どんなに念入りに人生を構築しても、あなたは必ず、障害や困難や邪魔者、不快な感情に遭遇し、それらに対処する必要に迫られる。そのときは、新しいやりかたを試み、いつもとちがう不慣れな感じに耐えなくてはならない。(中略)

あまりに心地よい状態に収まっていると、人はその人格の多面性を失ってしまう。使っていないと力の出ない筋肉のように、人格の各部もときどき動かさなければ、鍛えることはできない。そのうえ、新たな情報や課題がなければ、あなたは退屈し、落ちこんでしまうだろう。

内向型を強みにする 第10章 外へ-あなたの光で世界を照らそう p271

実際に快適ゾーンに終始とどまり続けることは現実的ではなく、快適ゾーンを出ることを求められる場面にも遭遇するでしょう。

また、快適ゾーンに留まり続けることは人生の可能性を狭めかねません。

外向型の人がリスク管理のために時にはじっくり考える時間が必要なように、内向型の人も能力の発揮や成長、新しい気づきとの出会い、信頼できる人との交流を得るためには、気質を超えて快適ゾーンから踏み出す活動が必要です。

人生の充実度を上げるためには、自分のゾーンから飛び出ることも必要になります。

注意点は、自分の限度を超えた危険領域まで突入しないことと、無理が近づいたら自身で気づいて回復モードに移行できるようになることです。

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快適ゾーンに戻るための選択肢や回復する方法や場所を挑戦前に確保することも大事そうですね。

おなじみのパターンを変えてみる

一方で、内向型の人新しい活動への挑戦にハードルが高く感じる傾向があります。

それでは、快適ゾーンから踏み出すため新しいことに日常的に触れ合う習慣を作るためにはどのようなステップが必要でしょうか?

筆者は一つの行動パターンを変えてみるだけでも驚きの変化が生まれることを主張します。下記がそのためのステップとなります。(p276)

  • 自分が変えたいひとつのパターンにねらいをつける
  • そのどこか一点をいつもとちがうかたちで行う
  • 別の状況下でうまくいった方法を用いてみる
  • 逆説を用いる。どうすれば問題がさらに悪化するか考えてみる
  • どうなっているか、ではなく、どうしたいかに気持ちを集中させる
  • 成功を祝う。いつもとちがうことをしてみると、開放感が味わえる。

ここでも重要となるのは適切なペース管理で、小さなステップを刻んでいくことです。このような成功を繰り返すことで内向型の人が失いがちな自信が高まりやすくなりモチベーションに繋がります。

また、先述の優先順位付が、ここでもどの活動をどう変えたいかという選択の基準になるでしょう。

本書では平日に家から出る習慣がなかった筆者のクライアントが週二回の外出へ挑戦するケースが例示されています。逆説としては今後三週間家から出られない場面の想像を促すことで、クライアントの外出への恐怖心を消すことで挑戦への動機付けを成功しています。

今の状況が続くとどうなるのか挑戦によりどのような変化が期待できるのか、メリット・デメリットを比較検討する上でも、「もし~だったら」という問いかけは有効となるでしょう。

外へ向かう7つの戦略

最後に筆者は下記の通り外へ向かう7つの戦略を紹介します。(p280-300)

  1. 勇気を出して口を開く
    【STEP1
    ・外に出かけて2,3人の知らない親切そうな人に声をかける。
    ・早口、かつ手短に、季節や風景の話など
    ・うまく会話できなくても自分を責めない、タイミングなどを工夫する
    【STEP2】
    ・気後れしていたコミュニケーションに挑戦する(保留していた返品対応や解約依頼など)
    ・言うべきセリフを練習しておく
    ・挑戦後は自分へのご褒美を忘れずに
  2. 心のイライラを鎮める
    ロバート・クーパー博士提唱の心を静める方法を試みる
    ・呼吸を続ける:呼吸が不足していないか注意
    ・穏やかな覚醒状態の目をする:自宅の鏡の前でリラックス状態の目を作る練習をしておき、いつでもできるようにしておく
    ・緊張を解き放つ:ストレスで緊張している体の部位がないか確認し、緊張を緩める
    ・特異な点に注目:対応を急がず、冷静に考えてその場に必要な対応を取る
    ・心の中の賢人を呼び起こす:過去問題解決した自分を呼び起こし、自信を身にまとう
  3. 自分に優しく
    内なる批判の声が強い傾向
    がある。過度で人格否定になっていないか注意して修正する。
    頭の中の声に引っ張られすぎないようにする。
  4. 常にサバイバル・キットを持つ
    どんな場所でも自分を取り戻すためのグッズ
    を持ち運ぶ。外でも快適に過ごす
    ・耳栓、癒し系の音楽・ヘッドホン
    ・肯定的な気持ちになれるノート、文言集
    ・癒し系の香り
    ・日焼け止め、防寒、防暑グッズ
  5. 定期的に燃料補給する
    消費したエネルギーを適宜回復する
    ・手首に冷たい水をそそぐ
    ・深呼吸やストレッチ、体の緊張を解く
    ・瞑想による脳の休止
    ・座って目を閉じ、楽しかった過去の経験を思い浮かべる
  6. いつもユーモアを忘れない
    笑いは副作用のない精神安定剤となる。ストレスを緩和し体を強くする。またユーモアは人との交流も助ける。
    嘲笑や相手を傷つける皮肉にならないようには注意すること
    ・漫画やジョーク、笑えることわざを切り抜く
    ・他の人のジョークや面白い話に必ず笑う
    ・自分の弱点に目を向ける。人間らしさに共感するよう努力する
    ・物事を大げさに表現してみる
    ・不適切でなければ、緊迫した状況下でユーモアを用いる
  7. ネットワークを作る
    交流は疲弊の原因である一方で、内向型の人はコミュニティや交流に憧れている
    忙しさと孤立の中間心地よい人間関係を目指す
    ・過去も含め自分のネットワークを紙に書きだす
     過去の交流の再開や現在の交流に新たな意味(より親密な関係、社会的意義のある活動への仲間等)の付加を検討する
    ・交流が疲れるのであれば、その原因を分析し交流の仕方を変えてみる
    ・新たに作りたい関係か、交流を深めたい関係か対象を絞り前進のための小さなステップを設定する
    ・インターネットの交流も、内向型の人にとってはストレスをコントロールしやすい。ただ依存症には注意

これらのテクニックを活用することで、ありのままの自分を守りながら新しいことに挑戦しやすくなり、自分らしく充実した人生を過ごすための後押しとなります。

終わりに

以上全三回でマーティ・O・レイニー氏「内向型を強みにする」に関する読書日記を整理しました。

自分に自信を持ちづらかったり、周りから誤解されることもある内向型ですが、快適な刺激のゾーンが異なり適度な休憩が必要なだけでその生まれながらの気質を変える必要はありません。

内向型の人には内向型の人だからこそ生まれる行動パターンや能力があり、それは社会や組織に必要とされる力です。

内向型の人にとって、自分の気質を理解しありのままの自分を守りながら自分の可能性を広げる上で今回の記事が参考になればうれしいです!

また外向型の人にとっては、身近な気質の異なる相手とのコミュニケーションを見直すきっかけとなりましたら幸いです。

それではまた次の記事で!

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